オンライン商談の録画の許可の取り方と、断られたときに残せる記録
2026年9月12日

商談を録画したいとき、許可の取り方を調べると、伝えるべきことの一覧はすぐ見つかります。困るのはその先です。断られたときに何をするかが、たいてい「承知しました、メモを取ります」の一行で終わっています。
この記事では、断られたあとに実際に何が起きるか、断られた理由を2つに分けて聞く方法、そして自分たちが録画と議事録を別々に作った理由を書きます。読むと、断られた場面で商談を止めずに進める手順が分かります。
法律の話は、先に片付けておく
会話をしている当事者が、相手の同意を得ずにその会話を録音すること自体は、違法ではありません。最高裁も、一方の当事者が相手方との会話を録音することは、相手方の同意が無くても違法ではないと判示しています(出典)。自分に向けて話された言葉を記録しているだけだから、という理屈です。
ただし、これは「黙って録っていい」という意味ではありません。 同じ出典が、録った内容を第三者に無断で開示した場合は不法行為や名誉毀損にあたりうると書いています。違法にならないのは録る行為までで、そこから先は別の話です。
そして商談では、法律の手前で信頼の問題になります。あとから録っていたと分かったときに失うものは、その商談だけではありません。だから許可を取ります。
許可を取るときに伝えるのは3つ
長い説明は要りません。伝える内容は3つに絞れます。
- 何のために録るか(言った言わないを防ぐため、社内で振り返るため)
- どこまで使うか(社内だけか、外に出ることがあるか)
- いつまで置くか(消す条件があるか)
この3つを冒頭で言い切ると、たいていはそのまま通ります。逆に、目的だけ言って使い道と保管に触れないと、相手は判断する材料を持てません。材料が無ければ、答えは「持ち帰ります」か「今回は結構です」になります。
断られたあと、「メモを取ります」で何が起きるか
断られたら引く。ここまでは、どの解説にも書いてあります。問題は代案として出てくる「メモを取ります」のほうです。実際にやると、2つのことが起きます。
1つ目は、話が止まることです。 書いている間は手元を見ます。相手の表情も画面共有も見ていません。オンラインだと沈黙がそのまま伝わるので、相手は言葉を止めて待ちます。録画を断られた商談ほど慎重に進めたいのに、逆に間延びします。
2つ目は、共有が遅れることです。 「後日、議事録をお送りします」と言った時点で、送るまでに時間が空きます。その間、相手の頭の中には相手の解釈が残ります。認識のズレは、時間が経つほど固まってから出てきます。
つまり「メモを取ります」は、断られた場面での回答としては弱いです。何も残らないよりはましですが、録画の代わりにはなっていません。
断られたのは「映像」なのか「記録」なのか
ここを確かめずに引き下がると、残せたはずのものまで一緒に落とします。断る理由は、だいたい2つに分かれます。
映像が残るのが嫌な場合。 顔が写る、部屋が写る、後ろを人が通る、同席者が意図せず入る。これは映像そのものへの拒否なので、テキストの記録なら構わないことが多いです。
記録が残ること自体が嫌な場合。 社内規程で外部ツールへの記録が禁止されている、守秘契約の範囲がはっきりしない、といった事情です。この場合は何も残せません。それが正解です。
分けるのは一言で足ります。
> 承知しました。映像は残しません。要点のテキストだけ残してもよろしいでしょうか。
これで前者なら通ります。後者なら「それも難しい」と返ってくるので、そこで完全に引きます。どちらなのかを確かめないまま全部やめるのが、一番もったいない対応です。
うちは録画と議事録を別々に作った

上の分け方は、ツール側がそれを許す作りになっていないと使えません。録画ボタンを押さないと文字起こしも始まらないツールでは、「映像は残さずテキストだけ」ができないからです。
自分たちのツールでは、録画と議事録を最初から別の経路にしました。
- 録画は、映像と音声をまとめて1つのファイルにして保存する経路
- 議事録は、音声だけを拾って文字起こしにかけ、要約する経路
この2つは互いを前提にしていません。録画を一度も開始していない商談でも、議事録がオンなら音声から議事録ができます。 通話中に文字起こしを進めているので、退室した時点でほぼ出来上がっています。「後日お送りします」ではなく、その日のうちに送れます。
逆向きも同じです。議事録をオフにすると、録画していない限り音声の取り込み自体が止まります。 オフにしたのに裏では拾い続けている、という作りにはしていません。相手に「記録は取りません」と言った以上、その言葉が本当でないと意味がないからです。
もう1つ、会社側の方針を個人が上書きできないようにしました。会社が「議事録は取らない」と決めているのに担当者の画面で勝手にオンにできると、相手への説明が嘘になります。個人に選ばせるかどうかも、会社側で決められるようにしています。
なぜここまで分けたか。片方を断られたときに両方落ちる作りだと、その場で打てる手が「商談を止める」しか無くなるからです。
断られた場面の、その場の運び方
順番だけ書きます。
- 一度引く。 「承知しました」で切る。理由を問い詰めない
- 分けて聞く。 映像を残さずテキストだけなら可能か、を確かめる
- 残せるほうを、その場で残す。 後日に回さない
- 終わったらすぐ送る。 認識のズレは、送るまでの時間で育つ
3と4ができるかは、道具の作りで決まります。断られてから慌てて手で書き起こす前提だと、結局「後日」になります。
そして、どちらも断られた商談では何も残しません。相手が記録を拒んだという事実だけ、自分の頭で覚えて帰ります。それも情報です。
Meetnect はブラウザだけで動くオンライン商談ツールです。この記事に書いた録画と議事録の切り分けは、実際にそう作ってあります。相手はURLを開くだけで参加でき、録画をしていない商談でも、通話しながら文字起こしが進んで、終わった時点で議事録ができています。