トップ / ブログ

オンライン商談のお礼メールに何を書くか

2026年9月24日

お礼だけのメールと、案内を一行足したメールでは、法律上の扱いが分かれる
お礼だけのメールと、案内を一行足したメールでは、法律上の扱いが分かれる

商談が終わった当日に、お礼のメールを送る。ここまでは誰も迷いません。迷うのは、そこに「ご参考までに、他のサービスのご案内も添えました」を足すかどうかです。

足した瞬間、そのメールは法律上の呼び名が変わります。この記事は、特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)と、その施行規則の条文を実際に引いて確かめた記録です。読むと、同意をもらっていない相手に送っていいのはどういう場合かと、そのとき本文に何を表示しないといけないかが、条文の言葉で分かります。

先に断っておくと、私たちは弁護士ではありません。ここに書くのは条文に書いてあることだけで、個別の判断は専門家に確かめてください。


この記事の内容
  1. 上位10件は、全部が文面の話
  2. 「広告を行うための手段として送るメール」が線引き
  3. 同意がなくても送れる4つの相手
  4. 送れるとしても、表示しないといけないものがある
  5. 「ついでに」なら、要るのは名称だけになる
  6. お礼メールに書くこと、書かないこと

上位10件は、全部が文面の話

「オンライン商談 お礼メール」で検索すると、上位は例文集で埋まっています。当日中に送る、商談内容を要約して認識を合わせる、画面共有した資料名を書く、「画面越しではございましたが」を冒頭に入れる。どれも実務的で、書いてあることに間違いはありません。

ただ、どれも「そのメールに何を書けるか」の外側には触れていません。 お礼の文面に案内を一行足したとき、そのメールがどう扱われるかを書いた記事は、上位に見当たりませんでした。


「広告を行うための手段として送るメール」が線引き

特定電子メール法の第二条第二号に、定義があります。

> 電子メールの送信をする者が自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信をする電子メールをいう。

(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 第二条第二号)

判定は宛先の数ではありません。 1通でも、自社の営業について広告や宣伝を行うための手段なら、定義に当てはまります。「お礼メールは1対1だから関係ない」という切り分け方は、条文には書かれていません。

そして第三条第一項が、送っていい相手を限定しています。

> 送信者は、次に掲げる者以外の者に対し、特定電子メールの送信をしてはならない。

原則は禁止で、そのあとに4つの例外が並ぶ形です。順に見ます。


同意がなくても送れる4つの相手

一号は、同意した相手。

> あらかじめ、特定電子メールの送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨を送信者又は送信委託者に対し通知した者

二号は、自分からメールアドレスを知らせてきた相手。 ここがオンライン商談で問題になります。通知の方法が、施行規則で限定されているからです。

> 法第三条第一項第二号の規定による送信者又は送信委託者に対する自己の電子メールアドレスの通知の方法は、書面により通知する方法とする。

(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律施行規則 第二条第一項)

「書面により」です。 対面の商談で名刺を受け取っていれば、これに当たります。オンライン商談では、その書面がありません。画面に表示された名前も、署名欄に書かれたメールアドレスも、書面ではない。名刺が担っていたものがどう欠けるかはオンライン商談の名刺交換に書きましたが、法律の側でも同じ欠け方をします。

三号は、取引関係にある相手。

> 当該特定電子メールを手段とする広告又は宣伝に係る営業を営む者と取引関係にある者

商談中の見込み客が「取引関係」に入るかどうかは、条文の文言だけでは決まりません。ここは断定できません。

四号は、メールアドレスを公表している団体か個人。

> 総務省令・内閣府令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを公表している団体又は個人(個人にあっては、営業を営む者に限る。)

公表の方法も施行規則にあります。「自己の電子メールアドレスをインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置く方法」(第三条)。会社のサイトの問い合わせ先に載っているアドレスは、これに当たります。

ただし、同じ条文にただし書きがあります。メールアドレスと並べて「特定電子メールを送らないでほしい」旨を公表していれば、四号から外れます。 サイトに「営業メールはお断りします」と書いてあるのは、条文上の意味を持つ表示だということです。


送れるとしても、表示しないといけないものがある

相手が4つのどれかに当てはまっても、それで終わりではありません。第四条が表示義務を定めています。

> 送信者は、特定電子メールの送信に当たっては、(中略)その受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に次に掲げる事項(中略)が正しく表示されるようにしなければならない。 > 一 当該送信者(中略)の氏名又は名称 > 二 前条第三項本文の通知を受けるための電子メールアドレス(中略)

さらに施行規則の第九条が3つ足します。送信を止めてほしいと言える旨、送信者の住所、苦情や問い合わせを受け付けられる電話番号かメールアドレスかURL。

並べると5つです。お礼メールの署名欄に、会社名・住所・電話番号・配信停止の案内が全部入っている状態を想像してください。それが条文どおりの形です。

お礼だけのメールは署名が短く、案内を主役にしたメールには住所や問い合わせ先まで並ぶ
お礼だけのメールは署名が短く、案内を主役にしたメールには住所や問い合わせ先まで並ぶ

「ついでに」なら、要るのは名称だけになる

では、お礼のメールに一行の案内を添えるたびに住所と配信停止リンクを入れるのか。ここに例外があります。施行規則の第六条第三号です。

> 広告又は宣伝以外の行為を主たる目的として送信される電子メール(電子メールの受信をする者の意思に反することなく送信されるものに限る。)において広告又は宣伝が付随的に行われる場合

この場合に当たると、法第四条の括弧書きで二号(受信拒否の通知先)が外れ、施行規則第九条のただし書きで残り3つも外れます。表示が要るのは、第四条第一号の氏名または名称だけになります。

商談のお礼が主たる目的で、案内が付随的なら、この形です。逆に、お礼を枕にして案内が本体になっていれば、付随的とは言いにくくなります。

ただ、「主たる目的」と「付随的」の境目は、条文にも施行規則にも書かれていません。 総務省と消費者庁がガイドラインを出していますが、PDFで公開されていて、この記事では中身を確認していません。だから、どこからが付随的でなくなるかについて、私たちは数字も基準も持っていません。 迷う文面を書いたときは、専門家に確かめてください。

なお、一号(同意)で送る場合は、同意を証する記録の保存も求められます(法第三条第二項)。保存期間は施行規則第四条第二項にあり、送った場合は「当該送信を最後にした日から起算して一月を経過する日までの間」です。


お礼メールに書くこと、書かないこと

条文から言えるのは、文面の巧拙ではなく構成の話です。

いちばん事故が少ないのは、お礼のメールと案内のメールを分けることだと思っています。分ければ、お礼のほうは定義に入らないまま送れて、案内のほうだけ署名を整えれば済みます。


Meetnect(meetnect.com)は、商談を終えるときに議事録を作るので、お礼メールを書き始めるまでの待ち時間がありません。何を貼って何を貼らないかはお礼メールに議事録を添えるときに書きました。ただし、メールを送るのは手元のメールソフトの仕事です。ここで書いた表示義務は、送る側で確かめてください。

商談しながら、議事録ができています

Meetnect はブラウザだけで動くオンライン商談ツールです。相手は登録不要、URLを開くだけ。通話中に文字起こしが進み、終わった時点で「誰が何を言ったか」まで残った議事録ができています。7日間、カード登録なしで試せます。