商談中にホワイトボードへ図を描いて、終わってから「さっきの図をもう一度見たい」と言われる。このとき相手の画面にボードが出てこないことがあります。原因は会議が終わったことではなく、相手が自分の組織の外にいることです。Microsoft・Zoom・Google の公式の記述を当て直すと、3つとも「所属」で線を引いていました。そして残るのはアクセス権ではなく、書き出したファイルのほうでした。出典はすべて本文に置きます。

検索して出てくるのは「使い方」ばかりです
「web会議 ホワイトボード」で調べると、出てくるのは描き方と機能紹介です。ペンの選び方、付箋の貼り方、おすすめツール5選。会議中の話で終わっています。
実際に詰まるのは会議のあとです。描いている最中は全員同じものを見ているので、問題が起きていることに気づきません。食い違いが表に出るのは、通話を切ってからです。
Teams:切れる線は「会議の終わり」ではなく「組織の外かどうか」
Microsoft のヘルプは、この一文で片付けています。「会議終了後、organization 外の出席者はホワイトボードにアクセスできなくなります」(Microsoft サポート)。
なぜそうなるのかは、管理者向けの文書に書いてあります。「Teams 会議でホワイトボードを共有すると、共有リンクが作成されます。このリンクには、organization 内のすべてのユーザーがアクセスできます」(Microsoft Learn)。
ボードは会議の持ち物ではなく、誰かの OneDrive に置かれたファイルで、そのファイルの共有リンクが社内向けに作られています。同じ文書の表では、外部ユーザーについて「会議中にのみ表示および共同作業を行うことができます(ホワイトボードを共有するボタンは外部ユーザーには表示されません)」と書かれています。
会議中に一緒に描けるのは、一時的に窓を開けているからです。窓は会議と一緒に閉じます。社内の人にはファイルが残り、商談相手には何も残りません。この差は会議中の画面からは見えません。
同じ会議でも、リンクから入っただけの相手はもっと手前で切れます
Teams には、会議終了後よりさらに手前で切れる席があります。同じ Microsoft Learn の文書に、管理者が AllowAnonymousMeetingParticipantsToAccessWhiteboards を有効にしたうえで、Teams 側の「匿名ユーザーが会議でアプリと対話できる」設定も有効である必要がある、と書かれています。そして「設定が無効になっている場合、匿名ユーザー(ゲストやフェデレーション ユーザーではなく)は、会議中にホワイトボードにアクセスできません」。
匿名ユーザーとは、招待リンクからサインインせずに入った人です。商談相手はたいていここに当たります。 設定次第では、会議中ですらボードが見えません。
同じ文書には、AllowAnonymousMeetingParticipantsToAccessWhiteboards を有効にしていても、Teams のチャネル会議では匿名ユーザーがホワイトボード共有を表示できない、という但し書きもあります。チャネルやチャットにタブとして足したボードについては、表に「外部ユーザー: サポートされていません」「Teams ゲスト: サポートされていません」と並んでいます。
「会議で共有できたのだから、あとで共有もできるだろう」は成り立ちません。同じボードでも、置き場所が変わると相手の側の扱いが変わります。

Zoom:残せますが、閉じる前に決めておく必要があります
Zoom は向きが違います。公式の説明では「管理者が有効にしている場合、ホワイトボードは組織内の誰とでも、または外部ユーザーとも共有できます」とあり、会議の中で共有する手順と、会議の外で共有する手順が別々に用意されています(Zoom サポート)。
そのうえで、会議中に既存のボードを開くときの選択肢として、こう書かれています。「Allow persistent access to verified meeting participants after closing the whiteboard」——ボードを閉じたあとも、確認済みの参加者にアクセスを残す。
これはチェックを入れる項目です。裏を返せば、入れなければ閉じた時点で切れます。しかも対象は「verified」な参加者で、サインインせずに入った相手はここに含まれません。
Teams が「終わったら外部は切れる」なら、Zoom は「残せるが、閉じる前に決めておく」です。どちらも商談の最中に思い出す種類のものではありません。
Google Meet:ホワイトボードはもう Google のものではありません
Google の Jamboard は、2024年12月31日以降ウェブ・iOS・Android・Google Meet ハードウェアのいずれでも使えなくなりました(Jamboard ヘルプ)。
いまの Meet でホワイトボードを使う場合、FigJam や Miro などのアドオンを呼び出す形になります。Meet のヘルプにはこう書かれています。「選択したサードパーティ製アドオンによっては、Google アカウントでアドオンアプリにログインするよう求められる場合や、ログインせずに続行できる場合があります」。さらに「アドオンによっては、ファイルへのアクセスを会議の他のゲストと共有することが必要になる場合があります」(Google Meet ヘルプ)。
ボードは会議の中ではなく、別のサービスの中にできます。 相手が後で見られるかどうかは Meet ではなく、そのサービスのアカウントと共有設定で決まります。商談の場で相手に「このアドオンにログインしてください」と頼むことになる場合があります。
詰まるのは、終わってから「さっきの図をください」と言われたとき
ここまでの3つは作りが違いますが、商談で起きることは同じです。描いているときは全員が見えていて、終わったあとに片側だけ消える。 消える側はたいてい相手です。
その場で打てる手は2つしかありません。
- 通話を切る前に、ボードを画像かPDFに書き出して手元に取る
- その場で相手にも取ってもらう(相手の側に書き出す手があるとは限りません)
どちらも「通話を切る前」です。切ってから気づくと、相手の画面にはもう何もありません。商談の図は、そのまま次回の出発点になるものです。描き直すと線が変わります。
うちは、ボードをファイルとして持っていません
自分たちのツールでは、ボードに置いた線や付箋を通話中の部屋が預かっているだけにしました。通話の部屋の中に持っているだけで、ファイルとしてはどこにも書いていません。途中から入った人には、その時点の部品をまとめて渡します。だから会議中の見え方は全員同じです。
残すときは、全ページを 1600×900 で描き直して PDF に組み立てます。この組み立てはブラウザの中で行っていて、サーバーを経由しません。保存先は Google ドライブか、その端末へのダウンロードです。
この作りにすると、「相手が後で見られるか」が設定の問題ではなくなります。 誰の組織かも、サインインしているかも関係しません。書き出したPDFを送れば相手に残り、送らなければどちらにも残らない。判断の材料が1つだけになります。
代わりに捨てたものもあります。ボードを後から開き直して続きを描くことはできません。続きが要るなら、書き出したPDFを次の商談で資料として出すことになります。会議のたびに白紙から始めるほうが、商談では実際に近いと考えました。
Meetnect では、このボードをブラウザだけで使えるようにしています。相手はアプリも登録も要らず、招待URLを開くだけで一緒に描けます。終わったら PDF にして送ってください。
出典