会議が終わったあと、チャットに書いたことが相手の手元に残るのか。調べると出てくるのは「自分のチャット履歴を保存する方法」ばかりです。この記事は反対側を書きます。Google Meet・Microsoft Teams・Zoom の公式ヘルプを当たると、残るか消えるかは会議ごとではなく席ごとに決まっていました。組織の外から入った相手だけが消える作りのものと、相手が自分で保存できる作りのものがあります。出典はすべて本文に置きました。

上位が書いているのは「自分の手元に残す方法」
「web会議 チャット 残る」で検索して出てくる記事は、ほぼ全部が保存の手順です。会議が終わったらチャットが消えてしまった、履歴を後から見たい、自動保存に切り替える——自分の側の記録を失わないための話になっています。
これは需要として正しいです。実際に消えるからです。ただ、商談で問題になるのはたいていその逆で、自分の画面には残っているものが相手の画面には残っていない、という食い違いのほうです。
商談で困るのは、相手の手元に残るかどうか
商談中にチャットを使う場面は、だいたいこの3つです。
- あとで見てもらう資料やページのURLを貼る
- 聞き取れなかった社名・型番・金額を文字で確かめる
- 同席している社内の人に一言入れる
1つ目は相手の手元に残ってほしいものです。2つ目は残っても消えてもかまいません。3つ目は残ってほしくないものです。ところが、どれが残るかを決めているのは書いた人ではありません。
Google Meet:組織の外から入った相手は、終了と同時に消える
Google Meet のヘルプは、チャットの保持が有効かどうかで説明を分けています。有効な場合は「メッセージは Google Chat と同期され、会議のチャットには会議の開始前、会議中、会議終了後にアクセスできます」。無効な場合は「メッセージは会議中にのみ表示され、会議が終了するとすぐに消えます」。
そのうえで、同じページにこう書かれています。「主催者の組織外から参加しているゲスト、またはログインしていない場合は、会議中にのみメッセージを利用できます。会議が終了すると、すべてのメッセージは消去されます」(Google Meet ヘルプ)。
商談の相手はここに当たります。主催者側が「残る」設定で使っていても、相手の側では終了と同時に消えます。URLをチャットに貼って「あとで見てください」と言った場合、相手が会議中に開かなければ、その案内はどこにも残りません。
同じページには「会議を録画すると、チャットの会話ログも保存されます」ともあります。録画した側の記録には残る、ということです。
Microsoft Teams:同じ会議でも、席によって分かれる
Teams のヘルプは、会議チャットへのアクセスを2種類に分けています。一時的なアクセスは「会議に参加してから会議が終了するまで会議チャットにアクセスできます」。永続的なアクセスは「会議中および会議後にチャットから退出するまで、会議チャットでメッセージを表示、送受信できます」。
そして匿名の参加者は「常に会議チャットに一時的にアクセスできます」「チャット履歴にはアクセスできません」と書かれています(Microsoft サポート)。
招待リンクからサインインせずに入った相手は、会議が終わった時点でチャットを見られなくなります。参加する前に投げられていたメッセージも見えません。1つの会議の中に、あとで読み返せる席と読み返せない席が同時にある、という形です。

Zoom:相手が自分で保存できる。個別に送ったものも入る
Zoom は向きが逆でした。公式の説明では、ホストは会議中のチャットを自動で保存でき、参加者は会議中に手動で保存できます。保存先の既定はパソコンの中で、ドキュメントフォルダの下に Zoom のフォルダを作り、ミーティング名と日付と時刻でフォルダを分けます。
注意したいのは、手元に保存される範囲です。ローカルに保存すると、自分に見えているチャット——自分に直接送られたものと、全員宛に送られたもの——が保存されます。クラウド側に保存する場合は全員宛のものだけになります(Zoom サポート)。
個別に送ったメッセージは、受け取った相手のファイルに入ります。これを送った側から取り消す手はありません。
同じページには、管理者側で「Allow users to save chats from the meeting」のチェックを外すと、参加者だけでなくホストも保存できなくなる、とも書かれています。止めるほうは全員まとめて止まります。
自分の画面は、相手の画面の証拠にならない
3つを並べると、共通しているのは自分の画面を見ても相手側がどうなるか分からないことです。
- 自分の画面にチャットが残っている。相手にも残っているとは限りません(Meet・Teams)
- 自分の画面から消えた。相手の手元にはファイルとして残っていることがあります(Zoom)
- 設定を確かめられるのは自分たちの管理画面だけで、相手の席の条件——組織の内か外か、サインインしているか——は相手の側で決まります
「消えたはず」も「残っているはず」も、確かめる手段が自分の側にありません。
送る前に決めておく3つ
会議が始まってからでは選び直せないので、先に決めておくと詰まりません。
- 残ってほしいものはチャットに置かない。 URL・見積の数字・次回の日程は、会議のあとにメールで送ります。チャットは「いま口で言ったことを文字で確かめる」用途に寄せます。
- 社内向けの一言を会議のチャットに書かない。 Zoom では個別に送ったメッセージが相手の保存ファイルに入ります。同席者へのやりとりは会議のチャットの外に出します。
- 相手がサインインしない前提で考える。 Teams で匿名参加の相手はチャット履歴を見られません。相手がサインインするかどうかは送る側が選べないので、見られない側を基準に置きます。
Meetnect ではチャットを保存していません
Meetnect のチャットは、サーバーが受け取ってその場でつながっている相手に渡すだけの作りです。src/worker.js の chat の処理は、届いたテキストを相手に配るところで終わっていて、データベースにもストレージにも書いていません。ブラウザ側も画面に表示するだけで、端末に保存していません。議事録は音声から作るので、チャットの文字は入りません。会議が終われば両側から消えます。残したいものはチャットに置かない、という前置きが要るのはうちも同じです。