議事録の見出しを、会社ごとに足せるようにした
2026年9月5日

AIが作る議事録は、どの商談でも同じ形で出てきます。概要があって、決定事項があって、ToDoがある。多くの商談はこれで足ります。
足りなくなるのは、その会社が毎回必ず聞いている項目があるときです。この記事は、その項目を会社ごとに足せるようにした実装の記録です。標準の4項目は動かさず、その下に会社が決めた見出しを足す作りにしました。 見出しの上限、詳しさの3段階がそのまま出力の上限トークンになっていること、そしてこの設定が効かない2つの場面まで書きます。
標準の4項目は、設定では動かせない
議事録の見出しは、コードの中の固定文字列として持っています。
# 議事録
## 概要
## 決定事項
## ToDo(分かれば担当・期限も)
## 要点・論点
会社ごとの設定でここを書き換えることはできません。足すことしかできない作りです。 設定画面で見出しを追加すると、この4つの下に並びます。
順番を選べるようにしなかったのは、議事録を読む側の負担を増やしたくなかったからです。会社ごとに項目の順番が違うと、複数社の議事録を並べて読む人が毎回目で探すことになります。上の4つがいつも同じ位置にあれば、独自項目だけを下で見ればよくなります。
追加できるのは12個まで、1つ40字まで
追加した見出しは、そのまま要約AIへの指示文に差し込まれます。数と長さに上限を置いています。
- 見出しは最大12個。13個目は保存時に切り落とされます
- 1つの見出しは40字まで。入力欄の側でも40字で止まります
- 空白だけの見出しは保存されません
上限を置いたのは、見出しが増えるほど1つあたりに使える文字数が減るからです。指示文に20個の見出しを並べても、出力の上限は変わりません。全部の見出しが1行ずつの薄い議事録になります。
設定画面には、追加する見出しの例として「希望年収」「転職理由」と書いてあります。採用面接をこのツールで回す場合を想定した例です。商談の内容によって、必ず埋めたい欄は違います。
詳しさの3段階は、そのまま上限トークンの3段階
「簡潔・標準・詳細」の3つから選べるようにしました。この選択は2か所に効きます。
1つは要約AIへの指示です。「詳細」を選ぶと「発言の要旨・背景・数字まで具体的に」という一文が足され、「簡潔」を選ぶと「最小限の要点のみ、短く」という一文が足されます。「標準」ではどちらの文も足しません。

もう1つが出力の上限です。簡潔で900トークン、標準で1600トークン、詳細で3000トークンです。 指示文だけを変えて上限を据え置くと、「詳しく書け」と言われたAIが上限に当たって文の途中で切れます。指示と上限は一緒に動かす必要がありました。
重視するポイントは、文章のまま渡している
見出しとは別に、「重視するポイント」を自由記入で置けるようにしています。800字までの文章です。
これは見出しにならず、要約AIへの指示文の中に「この会社が特に重視する観点」として、書かれた文章のまま入ります。項目を増やすのではなく、既存の4項目の中で何を優先して拾うかを変える設定です。
この指示文には「文字起こしに該当が無ければ無理に書かない」という条件を必ず付けています。重視すると書いてあるほど、AIはそれらしい記述を作りたがるからです。 予算の話が一度も出なかった商談で、予算の欄が埋まっている議事録は、無い議事録より害があります。
長い商談では、独自項目が拾われないことがある
正直に書いておきます。この設定が完全には効かない場面が2つあります。
1つ目は長い商談です。文字起こしが14,000字を超えると、区間ごとに要点を抜き出してから統合する2段構えに切り替わります。2時間の商談でも後半まで拾えるようにするためです(この長さの見積もりは別記事に書きました)。
このとき、前半の抜き出しで拾うのは「決定事項・ToDo・重要な発言・論点」の4つです。独自の見出しは、この抜き出しの段階には渡していません。 統合する最後の段階で初めて渡されるので、そこに至るまでに落ちた発言は、独自項目に入りようがありません。
「重視するポイント」の方は、この抜き出しの段階にも200字まで渡しています。だから、長い商談で確実に拾わせたい観点は、見出しを足すより「重視するポイント」に書いた方が残ります。この差は設定画面には書いていません。
無料のLLMに落ちると、「詳細」は頭打ちになる
2つ目は、使うAIが切り替わったときです。議事録の生成は、優先度の順に3つの経路を持っています。上から順に試して、返ってこなければ次に落ちます。
最後の経路はCloudflareの無料LLMで、ここだけ上限トークンを2000で頭打ちにしています。 つまりこの経路に落ちた商談では、「詳細」を選んでも3000ではなく2000までしか出ません。900と1600はそのまま通ります。
設定画面には「詳細を選ぶと長くなる」としか書いていないので、この経路に落ちた日だけ、詳細と標準の差が縮みます。 気づける形にはなっていません。ここは直す側の宿題です。
会話が無いときは、何も作らない
どの設定を選んでも共通で効いている条件があります。文字起こしが40字に満たない商談では、議事録を作らずに「会話が短いため、議事録を作成できませんでした」とだけ返します。
議事録の各項目についても、該当する発言が無ければ「(今回の会話からは読み取れませんでした)」と書かせています。独自の見出しを12個足した会社では、この行が並ぶ議事録も出ます。空欄が並ぶのは見栄えが悪いのですが、埋まっている欄がすべて実際の発言に基づいている状態の方を選びました。
Meetnect はブラウザだけで動くオンライン商談ツールで、この議事録の設定は管理画面から会社ごとに変えられます。この記事に出てくる上限の数字は、すべて実際に動いているコードの値です。効かない場面の2つも、記事を書きながらコードを読み直して見つけたもので、まだ直していません。