2時間の商談を録画すると、パソコンの中で何が起きているか
2026年8月30日

商談の録画機能を作るとき、まず10秒ほど録ってみて動作を確かめます。そこで得た数字を60倍、120倍して「2時間ならこれくらい」と見積もる。これが外れます。
この記事では、実際に録った録画ファイルを測った数字と、2時間に引き伸ばしたときの容量、そしてファイルサイズより先に問題になるものを載せます。長い会議を録るつもりなら、容量以外に見ておくところがあります。
10秒の録画で見積もると、3倍以上外す
手元にあった録画ファイルを、同じ設定のまま測りました。すべて同じ構成(VP9・1280×720・通話中の画面をそのまま録ったもの)です。
| 録画の長さ | ファイルサイズ | 実測ビットレート |
|---|---|---|
| 9.2秒 | 2,065,648 B | 1,795 kbps |
| 10.6秒 | 2,151,325 B | 1,631 kbps |
| 11.3秒 | 1,959,163 B | 1,392 kbps |
| 482.0秒(8分2秒) | 29,917,163 B | 497 kbps |
同じ録り方で、短い録画は長い録画の3倍以上のビットレートに見えます。
理由は2つ考えられます。冒頭の1枚は前のフレームとの差分ではなく丸ごと持つので重く、10秒の録画ではそれが全体に効きます。もう1つは、エンコーダが最初は多めにデータを割き、映像が動かないと分かってから落ち着くこと。どちらが主かまでは切り分けていません。確かなのは、短い録画で測った数字を掛け算しても当たらないということです。
2時間で実際どれくらいになるか
8分の実測値 497 kbps を2時間に引き伸ばすと、こうなります。
497 kbps × 7,200秒 = 3,578,400 kbit ≒ 447 MB
商談の録画は、映像がほとんど動きません。人が座って話しているだけで、背景も変わらない。だからビットレートは低いところで落ち着きます。
そのうえで上限も決めています。映像 800 kbps、音声 96 kbps です。
(800 + 96) kbps × 7,200秒 = 6,451,200 kbit ≒ 806 MB
2時間で最大806MB、実際は450MB前後。 上限は「動きの多い画面でも膨らみすぎない」ための天井で、普通の商談ならその下に収まります。
数百MBのファイルは、メールには乗りませんが、クラウドストレージに置く分には困りません。容量は、実は一番の問題ではありませんでした。
先に問題になるのは、終わったあとの一括処理

苦しいのは保存ではなく、録り終わった2時間の音声を、一度にまとめて文字起こしにかけようとしたときです。
音声を扱うには、圧縮された状態から生の波形に戻す必要があります。この展開したデータをブラウザのメモリに置くと、2時間で約4GBに達します。タブが落ちます。
ファイルは450MBなのに、開くと4GBになる。ここが見落としやすいところです。保存できる大きさと、処理できる大きさは別です。
現在は、後から一括で文字起こしをかける経路に250MBの上限を置いています。それを超えるものは処理を始めずに断ります。中途半端に始めてタブごと落ちるより、最初に断ったほうが失うものが少ないからです。
だから、録りながら文字起こしする
解決策は単純で、終わってから処理しないことです。
録音を25秒ごとに区切り、区切れた端から裏で文字起こしにかけて積んでいきます。2時間の商談が終わった時点では、大部分の文字起こしがすでに終わっています。
区切りの長さは25秒にしています。最初は45秒にしていましたが、3010: Invalid or incomplete input for the model というエラーが断続的に出ました。毎回ではなく、通るときと通らないときがある。使っているモデルが30秒を1単位として処理する設計なので、それを超える塊を渡すと実装によっては扱いきれません。25秒に縮めてから、このエラーは出なくなりました。
短くしたことで副次的な効果もありました。文字起こしが手元に届くのが早くなります。 長い塊を待つより、短い単位で次々に処理したほうが、終わったときには大部分が終わっています。
このあたりの詳しい話は 日本語の文字起こしが崩れる原因は、言語設定ひとつだった に書きました。
自分の録画を測ってみる
見積もりで話すより、手元のファイルを1つ測るほうが早いです。ffprobe があれば1行で出ます。
ffprobe -v error -show_entries format=duration,size,bit_rate -of default=noprint_wrappers=1 録画.webm
出てきたビットレートに、録りたい秒数を掛ければ容量が出ます。そのとき、測るファイルは短いものを選ばないでください。 最低でも5分以上、できれば実際の商談に近い長さのものを測ってください。10秒の録画から出した数字は、3倍以上ずれます。
Meetnect はブラウザだけで動くオンライン商談ツールで、2時間の商談を前提に作っています。通話中に文字起こしが進み、録画は指定した Google ドライブに保存されます。この記事の数字は、すべて実際に録ったファイルを測ったものです。