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AI議事録に入力した内容は学習に使われるか|条件が付いている

2026年10月14日

窓付きの金庫の中に書類の束が積まれている一方で、金庫の横から伸びた金属の管の先から紙が1枚ずつ出てきて、外に置かれたベルトコンベアに乗って運ばれていくイラスト
窓付きの金庫の中に書類の束が積まれている一方で、金庫の横から伸びた金属の管の先から紙が1枚ずつ出てきて、外に置かれたベルトコンベアに乗って運ばれていくイラスト

商談の文字起こしをAIに渡すとき、いちばん気になるのは「この内容が学習に使われるのか」です。調べると、主要な3社はどこも「使わない」と書いています。ただし3社とも、その文に条件を付けています。 そして同じGoogleでも、無料のGeminiアプリのページには逆向きのことが書いてあります。各社が自分で公開している原文を当たって、条件がどこに置かれているかを並べました。

「AI議事録 学習」で調べると、ツールの比較記事が並びます。注意点として「入力データが学習に使われない設定ができるか確認しましょう」と書かれています。正しいのですが、確認した先に何が書いてあるかまでは、どの記事も書いていません。 確認するとぶつかるのは「〜なく」「〜以外」「〜の場合を除き」という但し書きのほうです。そこを読まないと、確認したことになりません。

この記事の内容
  1. 3社とも「学習には使わない」と書いている
  2. どの文にも条件が付いている
  3. 同じGoogleでも、無料のGeminiアプリは書いてあることが逆になる
  4. 消すときに効くのは、自分の設定ではなく管理者の設定
  5. 商談には相手がいる。相手側の条件は、こちらからは見えない
  6. 確かめられなかったこと
  7. Meetnectの場合
  8. 参考

3社とも「学習には使わない」と書いている

まずZoomです。AIのホワイトペーパーに、そのものの1文があります。

> Zoom does not use any customer audio, video, chat, screen sharing, attachments, or other communications-like customer content (such as poll results, whiteboard, and reactions) to train Zoom's or its third-party artificial intelligence models.

(Data Governance and Privacy)

音声・映像・チャット・画面共有・添付ファイルを列挙したうえで、Zoomのモデルにも、Zoomが使っている他社のモデルにも使わないと書いています。

Microsoftは、Copilotのプライバシーのページで同じことを2回繰り返しています。

> Prompts, responses, and data accessed through Microsoft Graph aren't used to train foundation LLMs, including those used by Microsoft Copilot.

> The data is encrypted while it's stored and isn't used to train foundation LLMs, including those used by Microsoft Copilot.

(Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot)

Googleは、Workspace向けのプライバシーハブに日本語で書いています。

> お客様のコンテンツは、人間によってレビューされることも、許可なくお客様のドメイン外で生成 AI モデルのトレーニングに使用されることもありません。

(Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ)

ここまでは、比較記事が書いているとおりです。問題はこの先です。

どの文にも条件が付いている

3つの文を並べ直すと、付いている条件の形がそれぞれ違います。

Googleの文には2つの限定が入っています。「許可なく」と「お客様のドメイン外で」です。同じページの表には、やらないことの側にこう書かれています。

> ✖ お客様のプロンプト、Workspace のコンテンツ、ウェブページのコンテキスト、生成された回答を、お客様の許可なく生成 AI モデルのトレーニングに使用する

「許可なく」を外す権限は、話している本人ではなく契約している組織の側にあります。 営業担当が商談で話した内容について、許可を出すかどうかを決めるのは管理者です。そして「ドメイン外で」という限定が付いている以上、ドメインの中での扱いについてはこの文では何も言っていません。

Microsoftの条件は、約束の外側にあるものを名指しする形で付いています。同じページの注記です。

> When you're using agents to help Microsoft Copilot to provide more relevant information, check the privacy statement and terms of use of the agent to determine how it will handle your organization's data.

エージェント(Copilotに追加して使う外部の機能)については、そのエージェント側のプライバシーステートメントと利用規約を見て判断してくださいと書いてあります。 Copilotの約束が自動で及ぶとは書いていません。ウェブ検索も同じ扱いです。

> Based on these terms, Copilot generates a search query that it sends to the Bing Search service.

検索が必要だと判断されると、プロンプトから検索語が作られてBingに送られます。送られた先の扱いは、別のページに分けて説明されています。

Zoomの条件は、使わない用途と使う用途を分けて書く形です。

> Zoom AI features must use certain content to provide the service.

学習には使わないが、サービスを提供するためには使う、という線引きです。外部のモデル提供会社に渡る分についても、残さない約束と、その例外が1文に同居しています。

> Zoom has zero data retention policies in place, which provide that they do not retain customer content, with limited exceptions for trust and safety purposes, such as to detect and report CSAM.

「残さない」の後ろに「限定的な例外を除き」が付いています。 例として挙がっているのは児童性的虐待コンテンツの検出と通報で、商談の内容で引っかかるものではありません。ただし、例外が0件ではないという事実は、原文を読まないと分かりません。

同じGoogleでも、無料のGeminiアプリは書いてあることが逆になる

同じ見た目の木の扉が2つ並び、左の扉の向こうは椅子が1脚だけ置かれた金属張りの密室、右の扉の向こうは紙を載せたベルトコンベアが奥へ続いていく廊下になっているイラスト
同じ見た目の木の扉が2つ並び、左の扉の向こうは椅子が1脚だけ置かれた金属張りの密室、右の扉の向こうは紙を載せたベルトコンベアが奥へ続いていく廊下になっているイラスト

ここがいちばん効きます。上で引いたGoogleの文は、Workspaceの契約で使うGeminiについてのものです。個人のGoogleアカウントで使う無料のGeminiアプリには、別のプライバシーハブがあります。そこにはこう書かれています。

> これらの用途は、Google のサービスを支える生成 AI モデルやその他の機械学習技術にも及びます。

> こうした目的のため、人間のレビュアー(トレーニングを受けた Google のサービス プロバイダのレビュアーを含む)が収集したデータの一部をレビューすることがあります。

(Gemini アプリのプライバシー ハブ)

人間が読みます。 そして同じ段落が、読み手に向けて直接こう書いています。

> レビュアーに見られたくない機密情報や、Google のサービス(機械学習技術など)の改良のために使用されたくない機密情報は入力しないでください。

もう1つ、消したときの挙動が書かれています。

> 人間のレビュアーがレビューしたチャット(および言語、デバイスの種類、位置情報、フィードバックなどの関連データ)は、アクティビティを削除しても削除されません。こうしたチャットは最長で 3 年間保存されます。

削除しても消えません。最長3年です。 レビューに回ったものはアカウントから切り離されているため、アカウント側の削除操作が届かない、という作りです。

同じ会社の、同じ「Gemini」という名前です。違うのはログインしているアカウントだけです。会社のメールアドレスで入っているのか、個人のGmailで入っているのか。商談の文字起こしを貼り付けて要約させるとき、その画面がどちらなのかは、画面を見ても分かりにくいところにあります。

消すときに効くのは、自分の設定ではなく管理者の設定

「使われたくなければ消せばいい」と考えたときに、次にぶつかるのが保持期間です。Googleは同じプライバシーハブに表で出しています。

対象保持期間(原文のまま)
Gemini in Workspace のプロンプトと回答90 日から無期限(管理者によって設定されます)
Gemini アプリ(Workspace)のプロンプトと回答最長 36 か月(管理者によって設定されます)
Gemini Notebook のプロンプトと回答セッション終了後に保持されない

ユーザー側の操作についても、条件付きで書かれています。

> 管理者が禁止していない限り、ユーザーは会話を手動で削除できます

手で消せるかどうかも、管理者の設定次第です。 Microsoftも同じ形で、消す口と、消させない口の両方を説明しています。

> Your users can delete their Copilot activity history, which includes their prompts and the responses Copilot returns, by going to the My Account portal.

> Admins can also use Microsoft Purview to set retention policies for the data related to chat interactions with Copilot.

利用者はMy Accountの画面から自分の履歴を消せます。一方で管理者はPurviewで保持ポリシーを設定できます。保持ポリシーが設定されていれば、消したつもりのものが保持側に残ります。 これは記録を残すための仕組みなので、悪いことではありません。ただ「自分で消したから無くなった」とは言えない、という点だけは押さえておく必要があります。

処理される場所についても、Microsoftは幅を持たせて書いています。

> Customers outside the EU may have their queries processed in the US, EU, or other regions.

> Models provided by Anthropic as a subprocessor are currently excluded from the EU Data Boundary.

EUの外の顧客は、米国・EU・その他の地域で処理されることがある。そして下請処理者として提供されるAnthropicのモデルは、現時点ではEUデータ境界の対象外。どちらも「どこで処理されるか」を固定していません。

商談には相手がいる。相手側の条件は、こちらからは見えない

ここまでは、自分が使うツールの話です。商談で厄介なのは、同じ会話が相手側のアカウントにも入ることです。

相手が自社のAI議事録を回していれば、その文字起こしは相手の契約の条件で扱われます。相手の会社の管理者が学習利用に許可を出しているかどうか、保持期間を何日にしているか、誰が中身を読めるか。どれもこちらからは見えませんし、聞いても即答できる相手はまずいません。 相手が連れてきたAIが参加者として入ってくる場合の既定の動きは、web会議に相手のAI議事録ツールが参加に書きました。

そうすると、商談の前に打てる手は設定ではなく段取りのほうになります。

  1. 自分の側で、どのアカウントでAIを使うかを固定する。 会社の契約で入っているのか、個人のアカウントなのか。文字起こしを貼り付ける窓口を1つに決める
  2. 外に出せない話が出る商談では、要約を外部のチャットに貼らない。 Googleが自分のページに書いている「見られたくない機密情報は入力しないでください」は、個人アカウントで使う限りそのまま当てはまります
  3. 記録を取ることと、記録をAIに読ませることを、別々に口に出す。 録画の許可は取ったが要約に回すことは言っていない、という状態を作らない。切り出し方はオンライン商談の録画の許可の取り方と、断られたときに残せる記録に書いています

確かめられなかったこと

OpenAI(ChatGPT)の条件は、この記事に入れていません。 ヘルプセンターと企業向けプライバシーのページが、どちらもアクセスを拒否して原文を取れませんでした。孫引きで書くと、プランごとの既定を間違える可能性があります。取れなかったので書いていません。

Googleの「お客様のドメイン外で」が、ドメインの中ではどうなるのか。 原文はドメイン外についてしか書いていません。中での扱いを説明した記述は見つけられませんでした。

Zoomの「サービスを提供するために使う」の範囲。 どこまでが提供のための利用で、どこからが別の利用になるのかは、ホワイトペーパーのこの節からは読み取れませんでした。

日本語版と英語版の表現の差。 Googleの2本は日本語のページ、MicrosoftとZoomは英語のページから引いています。各社の日本語訳が同じ意味になっているかは確かめていません。

各社の記述は更新されます。 上の引用は2026年10月14日に各ページを開いて確認したものです。契約前には、同じページをもう一度開いて確かめてください。

Meetnectの場合

私たちが作っているMeetnectは、ブラウザで開くだけで使えるオンライン商談のツールです。この記事は、Zoom・Google・Microsoftが自分の公開ページに書いている文だけで組みました。3社分を並べて分かったのは、「学習に使われるか」の答えがツールの名前では決まらないということです。決めているのは、そのとき入っているアカウントと、その組織の管理者が置いた設定でした。相手のAIが入ってくる側の話はweb会議に相手のAI議事録ツールが参加に書いています。

参考

商談しながら、議事録ができています

Meetnect はブラウザだけで動くオンライン商談ツールです。相手は登録不要、URLを開くだけ。通話中に文字起こしが進み、終わった時点で「誰が何を言ったか」まで残った議事録ができています。7日間、カード登録なしで試せます。