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AI議事録の要約で要点が抜けるとき、どこを疑うか

2026年9月14日

同じ12行の商談文を2つの要約AIに渡すと、片方は応募数・媒体の中止・折り返しの遅れを落とした
同じ12行の商談文を2つの要約AIに渡すと、片方は応募数・媒体の中止・折り返しの遅れを落とした

AI議事録の要約から、大事なことが抜けている。調べると、ツールの選び方と、指示文(プロンプト)の書き方が出てきます。どちらも役に立ちます。ただ、実務で詰まるのは、抜けたことに気づくのが相手へ送った後で、しかも「文字起こしが悪かったのか、要約が落としたのか」を切り分けられないことです。

この記事では、一般論を短く済ませたあと、自分たちが取った切り分け方を書きます。同じ商談の文章を固定して、要約のAIだけを替えて、何が残って何が消えたかを見ました。 使った文章と、消えたもの、それで決めたことをそのまま載せます。


この記事の内容
  1. 王道は、指示文で「省くな」と書くこと
  2. 詰まるのは、抜けた原因が分からないこと
  3. 商談の文章を固定して、要約のAIだけを替えた
  4. 片方は「簡潔」のせいで、少なくとも3つ落とした
  5. 試験は、管理者がいつでも回せるようにした
  6. 固定した文章では分からないことも書いておく
  7. Meetnectでは

王道は、指示文で「省くな」と書くこと

先に一般論です。上位の記事は、要約で落ちやすいものを2種類挙げています。1つは決定事項・発言者・次のアクションのような「実務で一番使う部分」。もう1つは、曖昧な言い方が断定に変わってしまうこと。「来週あたり、また話しましょうか」が「来週の会議を確定した」になる、という例が出ています(出典)。

対策として挙がるのは指示文です。議題ごとに見出しを付ける、論点と結論を分けて箇条書きにする、重要な数値や固有名詞は省略しないと書く(出典)。自分たちも同じ考えで、要約のAIには「文字起こしに無い発言・決定事項・ToDo・数字を絶対に創作しない」と入れています(指示文の全文は前に書きました)。

一般論はここまでで足ります。

詰まるのは、抜けた原因が分からないこと

詰まる点は3つあります。

1つ目。抜けたと分かるのが、送った後。 議事録は商談が終わった直後に作られ、お礼のメールに貼って送ります。読み返すのは相手からの返信で「あの件は」と言われたときで、そのとき初めて、応募数の話が入っていないことに気づきます。

2つ目。文字起こしのせいか、要約のせいか分からない。 要約に無い言葉は、文字起こしの段階で崩れていたのかもしれません。日本語の文字起こしが壊れる条件は別の記事に書きましたが、崩れていたなら要約は何をしても取り返せません。逆に、文字起こしには残っているのに要約が捨てたなら、直すのは要約の側です。実際の商談では両方が混ざるので、切り分けられません。

3つ目。指示文を直しても、効いたかどうかを確かめられない。「数値を省くな」と足したとして、次の商談は前の商談と中身が違います。前より良くなったのか、たまたま今回は数字が少なかったのか、区別がつきません。

商談の文章を固定して、要約のAIだけを替えた

自分たちのツールでは、要約のAIを1つに固定していません。普段は Gemini を使い、返ってこないときは控えに落ちます。控えの最後は Cloudflare の Workers AI で動くモデルで、ここにどのモデルを置くかを、憶測ではなく実物で決めたかったのがきっかけです。

やったことは単純です。12行の商談の会話を1つ書いて、コードの中に固定しました。 営業(田中)と客の2人で、採用の相談をする内容です。含めたのは、実際の商談で議事録に残ってほしい種類の情報です。

この12行を、指示文も同じにして、モデルだけ替えて渡しました。指示文は「## 概要 / ## 決定事項 / ## ToDo に分けて簡潔にまとめる。事実にないことは書かない」です。同じ入力なので、出てきた議事録の差は、モデルの差だけです。

12行の固定した商談文を、指示文を変えずに2つの要約AIへ渡し、残ったものと消えたものを見比べる
12行の固定した商談文を、指示文を変えずに2つの要約AIへ渡し、残ったものと消えたものを見比べる

片方は「簡潔」のせいで、少なくとも3つ落とした

2026年8月27日に試した結果です。

Llama 3.3(70B)は、応募数・媒体の中止・折り返しの遅れの3つが消えました。 日本語の議事録としては簡潔すぎて、「応募が月1〜2件」も「Indeed の有料枠を止めた」も「折り返しが翌日で何人か流れた」も入っていません。書いてあることは間違っていません。次の商談の材料にならないだけです。

Qwen3(30B)は、同じ12行で担当者別の ToDo まで拾いました。 12行に入れた ToDo は、田中の「来週見積もりを出す」と客の「見積もりを受けて代表と相談する」の2つです。担当者別に拾えたというのは、この2つが誰のものかを分けて出せた、ということです。

この結果で、控えのモデルは Qwen3 にしました。「簡潔にまとめて」という指示は同じなのに、何を簡潔さの犠牲にするかがモデルで違う、というのがこの試験で分かったことです。片方は数字と経緯を削り、もう片方は文の長さを削りました。

これはツールの優劣の話ではありません。12行の1つの会話で、自分たちの指示文に対してどう振る舞ったか、という1回の観察です。会話が変われば結果も変わりえます。ただ、同じ入力で比べたから、差がモデルの差だと言えた。これが固定した理由です。

試験は、管理者がいつでも回せるようにした

この12行と指示文は、試したときの使い捨てにせず、サーバーのコードに残しています。管理者が呼び出すと、指定したモデルに同じ12行を渡し、かかった時間(ミリ秒)・返ってきた文字数・議事録の本文を返します。出力の長さは700トークンまでに固定しています。

残した理由は、控えのモデルは普段使わないからです。使わないものは、いつの間にか変わっていても気づきません。モデルの提供側が中身を更新することもあります。何かあったときに「今の控えは応募数を拾うか」を、実際の商談を待たずに確かめられるようにしておきたかった。

同じ理由で、指示文を直したときもこの12行で見ます。「数値を省くな」を足して応募数が戻ったなら、効いたと言えます。実際の商談では、上に書いたとおり効いたかどうかが分かりません。

固定した文章では分からないことも書いておく

正直に書くと、この方法で分かるのは「この12行で何が残るか」だけです。

2時間の商談は文字起こしが14,000字を超え、区間に割って要点を抜いてから統合します(仕組み)。12行の試験はその経路を通りません。長い商談で後半が薄くなるかどうかは、この試験では見えません。

聞き取りの崩れも入っていません。12行は人が書いた綺麗な文章なので、文字起こしが「Indeed」を別の言葉に変えていた場合にどうなるかは、別の問題として残ります。要約が拾えるのは、文字起こしに残っているものまでです。

それでも、要約の側だけを切り出して測れる状態は、何も測れない状態とは違います。抜けたときに「文字起こしを見る」「12行を通す」の2つの手順があるかどうかで、原因に辿り着く速さが変わります。

Meetnectでは

Meetnect はブラウザだけで動くオンライン商談ツールです。この記事の12行の会話、2つのモデルの結果、管理者向けの試験は、実際に動いているコードの中身をそのまま書きました。議事録は商談中の音声から4つの項目で作られ、要約のAIはこの試験で選んだ控えを持っています。

商談しながら、議事録ができています

Meetnect はブラウザだけで動くオンライン商談ツールです。相手は登録不要、URLを開くだけ。通話中に文字起こしが進み、終わった時点で「誰が何を言ったか」まで残った議事録ができています。7日間、カード登録なしで試せます。