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退職した営業の商談記録が引き継げない|消えるのはアカウントごと

2026年9月27日

左では退職する人が荷物を抱えて部屋を出ていき、その人のノートPCに並んでいた商談の録画と資料が砂時計とともに崩れて消えていく。右には同じ記録が棚に並んでいて、そちらには時間切れの印が無い図
左では退職する人が荷物を抱えて部屋を出ていき、その人のノートPCに並んでいた商談の録画と資料が砂時計とともに崩れて消えていく。右には同じ記録が棚に並んでいて、そちらには時間切れの印が無い図

営業が辞めたあとで、その人が担当していた取引先の商談記録を探して、どこにも無いことに気づく。引き継ぎ書は受け取っているのに、録画と議事録だけが見つからない。原因は引き継ぎの手抜かりではなく、記録が最初から「その人のアカウントの中」にできていることです。そして消える日は、退職日ではなく、情シスが削除の操作をした日から数え始めます。3つのサービスの公式ヘルプで、何がいつ消えるのかを確かめました。

この記事の内容
  1. 引き継ぎの定石は、引き継ぎ書と、早めの同行
  2. 詰まるのは、記録が「その人のアカウントの中」にできていること
  3. Google:移管しなかったものは消える。戻せるのは20日
  4. Zoom:移管を選べるのは、削除の画面だけ
  5. Microsoft:時計が動き出すのは「アカウントを消した日」
  6. これは退職の話ではなく、置き場所の話だった
  7. Meetnectでは

引き継ぎの定石は、引き継ぎ書と、早めの同行

退職の引き継ぎで言われることは、だいたい決まっています。担当と案件の一覧を作る。進行中の案件の状況を書く。退職日より前に後任を連れて挨拶に回る。アカウントと権限は最後に止める。

この手順は正しく、やらない理由はありません。ただしこの手順が扱っているのは「人が知っていること」です。どこまで話が進んでいるか、先方の誰が決裁するか、前回何を約束したか。それを紙に落とす作業が引き継ぎ書です。

商談の録画や自動議事録は、ここに載りません。載せるとしても「◯◯フォルダにあります」の一行で、その一行が本当かどうかは誰も確かめないまま退職日が来ます。

詰まるのは、記録が「その人のアカウントの中」にできていること

会議ツールの録画は、会社のどこかに集まるわけではありません。録画した人か、会議を開いた人の、個人のストレージに入ります。

Google Meet のヘルプはこう書いています。

> 録画は、会議の主催者の Google ドライブの「Google Meet」フォルダに保存されます。

(会議を録画する)主催者のドライブです。会社の共有の場所ではありません。

Teams も同じ形です。

> 会議やイベントについては、開催者が会議やイベントに出席していなくても、レコーディングは開催者の OneDrive に保存されます。

1対1の通話ではさらに手前に寄って、「[記録] を選んだユーザーの OneDrive アカウントに保存されます」となります(OneDrive と SharePoint での Teams 会議のレコーディングと文字起こしの保存とアクセス許可)。

商談は社外との会議なので、ここに効いてくる行がもう一つあります。同じページのアクセス許可の表で、社外との1対1通話は「発信者は所有者であり、完全なアクセス許可を持っています。受信者にはアクセス権がありません」となっています。録画に完全な権限を持っているのは、担当者ひとりです。 本人が辞めたあと、社内の誰も自動では持っていません。

Google:移管しなかったものは消える。戻せるのは20日

Google Workspace の管理者向けヘルプは、離職した従業員のデータについてはっきり書いています。

> 別のユーザーに移管しなかったコンテンツは削除されます

(離職した従業員のデータを保持するためのオプション)

削除してしまったあとの手は、同じページにあります。

> 削除後 20 日以内にそのユーザーを復元する必要があります

20日です。退職して1か月たってから「あの案件の記録を見たい」と言われた時点で、もう手はありません。

一方、置き場所が共有ドライブだった場合は話が変わります。

> ファイルは個人ではなくチームや組織が所有します。メンバーがチームを去り、そのメンバーのアカウントが管理者によって削除されても、そのメンバーが共有ドライブに追加または作成していたファイルは残ります。

(共有ドライブとは)同じ会社の同じ Google Workspace でも、ファイルがどちらにあるかで結果が正反対になります。 そして Meet の録画は、前の節のとおり主催者のドライブに入ります。

Zoom:移管を選べるのは、削除の画面だけ

Zoom はユーザーを「無効化」するか「削除」するかで分かれます。無効化なら残ります。

> Deactivation allows you to reactivate a user later. Although the licenses have been removed, the settings will remain intact.

削除はこうです。

> Deleting a user will permanently remove the user, including their settings, meetings, webinars, recordings, and more from Zoom.

(Deactivating, unlinking, or deleting users from your account)recordings が名前で挙がっています。

救いは、削除の前に別のユーザーへ移せることです。移せるものには "All cloud recording files" が含まれます。ただし条件があって、受け取る側が Licensed user である必要があり、予定された会議のうち本人の個人ミーティングID(PMI)で作られたものは対象外です(Transferring data to another user)。

注目したいのは、公式の案内がどちらも「削除する前に移管する」の形になっていることです。移管は削除の操作の中にある選択肢で、あとから開く窓ではありません。削除ボタンを押した人が、その瞬間に営業の記録のことまで思い出せるかどうかに掛かっています。

Microsoft:時計が動き出すのは「アカウントを消した日」

Microsoft のドキュメントには、退職の実務とずれやすい一文があります。

> OneDrive のクリーンアップの OneDrive 保有期間は、ユーザー アカウントが Microsoft Entra ID から削除されたときに開始されます。ユーザーのサインインのブロックやユーザーのライセンスの削除など、クリーンアップ プロセスが発生する他のアクションはありません。

(OneDrive の保持と削除)

退職処理では、まずサインインを止め、ライセンスを外し、しばらく置いてから消す、という順番になりがちです。この場合、止めた日には何も始まりません。 数か月後に誰かが棚卸しでアカウントを削除した日から、時計が動き出します。

そこからの流れも同じページに書かれています。既定の保持期間は30日で、SharePoint 管理センターか PowerShell の Set-SPOTenant -OrphanedPersonalSitesRetentionPeriod で変更できます。削除されたユーザーにマネージャーが指定されていれば、マネージャーにアクセス権と通知のメールが届きます。期限の7日前に2通目が届きます。

ただし条件がついています。

> アクセス委任が無効になっている場合、またはマネージャーまたはセカンダリ所有者がユーザーに設定されていない場合、ユーザーが削除されたとき、または OneDrive が削除されることを警告されたときに、誰も自動アクセス権を持たなくなります。

マネージャーが Entra ID に入っていない会社は珍しくありません。その場合、通知も届かず、アクセス権も誰にも渡りません。

期限が切れたあとは、サイトコレクションのごみ箱に移って93日間残ります。ただしこの間「ユーザーは OneDrive 内の共有コンテンツにアクセスできなくなります」とされ、復元には PowerShell が要ります。しかも「ごみ箱にはインデックスが作成されていないため、検索でコンテンツが見つかりません」。93日あっても、探して見つけるという方法は使えません。

なお Teams の録画については、同じ Microsoft のページに「ビデオは OneDrive と SharePoint の他のファイルと同じです。ユーザーが退職した後の所有権と保持の処理は、標準の OneDrive および SharePoint プロセスに従います」と明記されています。録画だけを特別扱いする仕組みは無い、ということです。

これは退職の話ではなく、置き場所の話だった

机の上に時計が2つ並んでいる。左の赤い時計はカレンダーに印の付いた退職日に向かって進み、右の青い時計はそれとは別のタイミングで動いていて、右側では商談の録画と資料が次々に薄くなってごみ箱へ落ちていく図
机の上に時計が2つ並んでいる。左の赤い時計はカレンダーに印の付いた退職日に向かって進み、右の青い時計はそれとは別のタイミングで動いていて、右側では商談の録画と資料が次々に薄くなってごみ箱へ落ちていく図

3つを並べると、共通しているのは締め切りの数え方です。引き継ぎの締め切りは退職日です。記録の締め切りは、アカウントを削除した日です。 この2つは同じ日ではなく、多くの場合、後者は誰にも共有されないまま過ぎていきます。

だから対策は、退職が決まってからの手順書に足すものではありません。商談の記録を、最初から個人のアカウントの外に置けるかどうかです。Google の共有ドライブの一文が示しているとおり、置き場所さえ変えておけば、同じ削除の操作をしてもファイルは残ります。

確かめ方は簡単です。いま自社で使っている会議ツールで、直近の商談の録画を1本開いてみてください。そのファイルの所有者が個人名になっていたら、その人が辞めた日から時計が動きます。

Meetnectでは

Meetnect は、商談の記録を作った人ではなく会社に紐づけています。議事録と資料のデータベースは会社ドメインを主キーにしていて(rooms と room_files)、誰が作ったかは記録として持つだけで、一覧の出し分けには使っていません。保存先の Drive フォルダも会社に1つです(settings テーブルの主キーが会社ドメイン)。担当者ごとのフォルダに分かれないので、担当が入れ替わっても一覧と置き場所はそのままです。オンライン商談の録画と議事録を試す場合は、Meetnect をご覧ください。

商談しながら、議事録ができています

Meetnect はブラウザだけで動くオンライン商談ツールです。相手は登録不要、URLを開くだけ。通話中に文字起こしが進み、終わった時点で「誰が何を言ったか」まで残った議事録ができています。7日間、カード登録なしで試せます。