web会議のホワイトボードに2人同時に書く|同時編集は1つでない
2026年10月16日

商談中にホワイトボードを開いて、自分が図を描き、相手にも書き込んでもらう。2人で同時に書けるのか、どちらかが待つことになるのか。
Zoom・Webex・Microsoft の公式ヘルプを当たったら、「同時に書ける」は1つの話ではありませんでした。人数の上限・相手が編集できる立場か・一度に開けるボードの枚数が、それぞれ別に決まっています。しかも人数の上限は、固定の数字ではないツールがあります。出典は本文に置きます。
上位は「おすすめ○選」で、同時編集は1行で終わっている
この語で検索して上位10件を読みました。9件がホワイトボードツールの比較記事で、中身はほぼ同じです。Miro・Zoom Whiteboard・Microsoft Whiteboard・FigJam・Lucidspark が並び、それぞれに「複数人で同時に編集できます」と1行ついています。
どれも間違っていません。ただし「同時に編集できる」の先が書かれていません。 商談で知りたいのは、目の前の相手が1人いて、その1人がいま書けるのかどうかです。人数の上限が何百人であっても、相手が書き込めなければ関係ありません。
Zoom:上限は決めていないが、混んでくると書ける人数が減る
Zoomの公式は、会議中のホワイトボードを編集できる人数をこう書いています。
> When a whiteboard is shared in a meeting, there is no set limit on the number of individuals who can edit it. However, certain limitations are applied if the amount of network traffic surpasses a particular threshold.
(会議でホワイトボードを共有しているとき、編集できる人数に決められた上限は無い。ただし通信量が一定の閾値を超えると、制限がかかる。訳は筆者。Using Zoom Whiteboard in a Zoom meeting)
続きに数字が出ています。
> As the traffic increases, the number of people who can edit the whiteboard decreases. > Suppose there are 100 participants in a meeting, only 30 people can edit the whiteboard simultaneously.
(通信量が増えるほど、ホワイトボードを編集できる人数は減る。たとえば会議の参加者が100人なら、同時に編集できるのは30人になる。訳は筆者)
ここが上位の記事に無い部分です。上限は固定の数字ではなく、その場の通信量で動きます。 2人の商談で30人の線に当たることはありませんが、設定画面を探しても同時編集の人数が出てこない理由はこれです。公式が数を決めていないので、管理画面にも項目がありません。
Webex:全員に自動で許可される。ただし開けるボードは1枚だけ
Webexは、編集の許可の話を先に書いています。
> Webexは、会議中に参加者全員にホワイトボードの表示と編集を自動的に許可します。
(Webex Meetings でホワイトボードを共有する)
相手に書いてもらうために、こちらで何かを押す必要はありません。その代わり、同じページに別の上限が書かれています。
> 会議に参加している人なら誰でも、ホワイトボードを作成して共有できます。一度に開くことができるホワイトボードは1つだけです。
誰でも作れて、開けるのは1枚です。自分が図を描いている途中に相手が自分のボードを作って共有すると、2人が向き合うのは必ず「同じ1枚」になります。 人数ではなく枚数の制約で、上位の比較記事はこの行に触れていません。
Teams:社外の相手が書けるかは、こちらの会社の設定で決まる
Microsoftは、社外の相手との共同編集に条件を置いています。
> Microsoft Whiteboard lets you collaborate with external participants during a Teams meeting, as long as your administrator has enabled the correct settings.
(Microsoft Whiteboard は、管理者が適切な設定を有効にしている限り、Teams 会議中に社外の参加者と共同編集できる。訳は筆者。Collaborate with external participants in a Teams meeting)
商談の相手は、ほぼ必ず社外です。相手が書けるかどうかは、その場の操作ではなく、自分の会社の管理者が前に決めた設定で決まっています。 当日ボードを開いてから気づいても、商談中には変えられません。
アプリの側には、もう1本線が引かれています。Surface Hub 向けのドキュメントには You can only run collaborative sessions among users belonging to the same Microsoft 365 tenant.(共同編集のセッションは、同じ Microsoft 365 テナントに所属するユーザーの間でしか実行できない。訳は筆者。Set up and use Microsoft Whiteboard)とあります。会議の中からボードを開くことと、アプリでボードを開いて相手を招くことは、別の話として書かれています。会議が終わったあとに相手から見えるかどうかは、所属で線が引かれる話に書きました。
「同じ1枚に2人」ではなく「1人に1枚」もある
同時編集の形は、もう1つあります。Zoomには、参加者それぞれに自分のボードを渡すモードがあります。
> Individual Whiteboard mode creates private working spaces for each participant while allowing the host to monitor progress across the entire group.
(個別ホワイトボードモードは、参加者ごとに非公開の作業場所を作り、主催者はグループ全体の進み具合を見られる。訳は筆者。Using individual whiteboard mode in Zoom Whiteboard)
参加者の側は、他の参加者の作業を View but not edit other participants' work or shared content.(他の参加者の作業や共有された内容を、見られるが編集はできない)と書かれています。このモードには Zoom Whiteboard Plus のライセンスが要ります。「2人同時に書く」を調べるときは、同じ1枚に2人なのか、1人に1枚なのかで、探すものが変わります。
うちは、指を離した時点で部品を丸ごと1通で送ります

ここから自分たちの作りの話です。前提として、うちのホワイトボードは線や付箋を1つずつ「部品」として持っています(その設計の記事)。部品には1つずつ番号が振られていて、通話をつないでいるサーバーがその一覧を持ちます。
同時に書ける人数の上限は決めていません。絞る仕組みも入れていません。ただし商談(2人から数人)を前提にした作りで、何十人が同時に書いたときの検証はしていません。 人数が増えたときどうなるかは分かりません。
送り方は決めてあります。付箋を動かしている間、大きさを変えている間は、相手に何も送りません。指を離した時点で、その部品の全体を1通にまとめて送ります。 動かしている途中の座標を毎回流す作りにはしていません。手書きの線も同じで、ペンを離した時点で1本の線として届きます。
同じ付箋を2人が掴んだら、後に離したほうで確定します
部品に番号が振ってあることが、ここで効きます。届いた1通は、同じ番号の部品を探して、丸ごと差し替えます。 位置だけ、色だけを取り出して混ぜる処理はしていません。
だから2人が同じ付箋を同時に動かしても、画面の中で引っ張り合いになりません。先に離した人の位置でいったん落ち着き、後から届いた1通でその位置に差し替わります。結果は「後に離したほうの位置」です。 位置はこちら・色は相手、のような混ざった状態は作られません。
別々の部品を触っている間は、そもそもぶつかりません。自分が図形を動かし、相手が付箋を書いているなら、番号が違うので互いを上書きしません。ページも同じ考えで、枚数は増える方向だけに合わせます。 2人が同時にページを足しても多いほうの枚数に揃い、誰かの操作で枚数が減ることはありません。いま何ページ目を見ているかは各自で別なので、2人が別のページに同時に書くこともできます。
Meetnect はブラウザだけで動くオンライン商談ツールです。ホワイトボードは、この記事に書いたとおり部品ごとに番号を振り、指を離した時点で1通ずつ送る作りです。相手はURLを開くだけで参加でき、そのままボードに書き込めます。通話しながら文字起こしが進み、終わった時点で議事録ができています。