AI議事録の項目をカスタマイズするとき、動かせないものを決めた
2026年9月17日

AI議事録の項目を自社向けにカスタマイズしたい。調べると、議事録テンプレートを社内仕様に作れる機能、過去の議事録からテンプレートを生成する機能、項目も見た目も自由に組めるカスタム要約、というものが並びます。どれも「自由に組める」が売りです。
この記事では、一般論を短く済ませたあと、自分たちが逆の判断をした話を書きます。標準の4項目は動かせないようにして、会社の独自項目はその下に足すだけにしました。足せる数と長さの上限、見出しの文字がそのままAIへの指示になること、独自項目が埋まらないときに何が出るか、長い商談で独自項目だけが空になった不具合を直した話まで、コードにある値だけで書きます。
王道は「自由に組める」テンプレート
先に一般論です。上位に並ぶのは、社内仕様の議事録テンプレートを作れる機能の案内、既存の議事録を読み込ませて自社用のテンプレートを自動生成する機能、そして議事録の項目や見た目を用途に合わせて作り変えるカスタム要約の使い方です(例1・例2)。自分でAIに指示文を書く場合の型も、役割・形式・入力の3つを揃えて、1つの指示文に詰め込みすぎないという説明で出てきます(出典)。
方向はどれも同じで、項目を自由に決められることを前提にしています。
一般論はここまでで足ります。
詰まるのは、自由に組めたあと
自由に組めるようにすると、詰まる点が3つ出ます。
1つ目。標準の項目まで動かせると、議事録を使う側の処理が壊れる。 議事録は読んで終わりではなく、商談のあとに「決定事項」と「ToDo」だけを相手へのメールに貼る(前に書きました)とか、担当が替わったときに前任者の分を読む(これも前に書きました)という使い方をします。会社ごと、時期ごとに「決定事項」が別の名前になっていたり無くなっていたりすると、どこを貼ればいいかを毎回目で探すことになります。
2つ目。項目を足すと、AIはその項目を埋めに来る。 空の見出しを渡されたAIは、該当する発言が無くても、それらしい文を書いてしまいます。項目を「自社に必要なもの」で増やすほど、実際の商談では出なかった話が埋まった議事録になりやすい。項目が増えるだけなら害はありませんが、埋まり方が変わるのが問題です。
3つ目。長い会議では、足した項目だけが空になる。 長い文字起こしは一度に要約できないので、区間に分けて要点を抜き出してから統合する作りになります。このとき区間の抜き出しに「標準の項目」しか渡していないと、統合の段で独自項目の見出しだけが立って、中身が無い議事録になります。これは自分たちで実際に起こしました。あとで書きます。
標準4つは固定、独自項目はその下に足すだけ
自分たちの議事録の見出しは、標準がこの4つです。
# 議事録
## 概要
## 決定事項
## ToDo(分かれば担当・期限も)
## 要点・論点
この4行はコードに固定の文字列として書いてあり、会社の設定で消す・名前を変える・順番を入れ替える、のどれもできません。会社が独自項目を足すと、この4つの下に、入力した順で ## 見出し が並びます。 それだけです。4つに絞った理由は前に書いたので、ここでは繰り返しません。
足すだけにしたのは、上の1つ目の詰まりを起こさないためです。「決定事項」と「ToDo」がどの会社のどの商談でも同じ位置に同じ名前であれば、そこを貼る・そこを読むという使い方がずっと同じままです。会社ごとの違いは、4つの下だけに閉じ込めました。

上限は12個・40字。その40字がAIへの指示のすべて
独自項目は最大12個、1つ40字までです。設定画面の入力欄は40字で止まり、13個目を足そうとすると「項目は最大12個までです」と出ます。同じ文字の項目を2回入れても、2つ目は無視されます。
同じ上限を、保存を受け取るサーバー側にも置いています。空白を落として40字で切り、空になったものを除いて、先頭12個だけを保存します。画面で止めているのにサーバーでも止めるのは、画面の制限は画面を通らなければ効かないからです。議事録の見出しは、そのままAIへの指示文に差し込まれます。 指示文に入るものの上限は、指示文を組み立てる側で持つのが筋だと考えました。
12個にした理由は、見出しが増えるほど1項目に使える出力が減るからです。出力の上限は項目数で増えません(この関係は前に書きました)。12個は「これ以上足すと、どの項目も1行ずつになる」という目安で、実測した境目ではありません。
もう1つ、設定画面に書いていないことを書きます。独自項目には、見出し以外の説明を付ける欄がありません。AIがその項目について受け取るのは、見出しの40字だけです。
だから見出しは、AIが文字起こしの中から該当する発言を見つけられる言葉にする必要があります。設定画面の例に「希望年収」「転職理由」と書いてあるのは、採用の面談をこのツールで回す場合を想定した例ですが、どちらも「何の発言を拾えばいいか」が見出しだけで決まる言葉です。逆に「その他」「備考」のような見出しは、AIにとっては何を拾えばいいか分からない項目になります。
項目として毎回見出しを立てたいわけではなく、既存の4項目の中で「この話は必ず拾ってほしい」というだけなら、独自項目ではなく「重視するポイント」に文章で書く方が向いています(その仕組みは前に書きました)。見出しを足すのは、議事録を開いたときにその欄があること自体に意味がある場合です。
埋まらない独自項目は、空だと書かせる
上の2つ目の詰まりへの答えです。AIへの指示文には、標準の4項目と独自項目に共通で、この一文が入っています。
> 会話が乏しく議事録にできる情報が無い項目には「(今回の会話からは読み取れませんでした)」と書き、内容をでっち上げないこと。
独自項目を12個足した会社で、そのうち8個が今日の商談では話に出なかったなら、8個の見出しの下にこの一行が並びます。見栄えはよくありません。それでも、埋まっている欄がすべて実際の発言に基づいている状態の方を選びました。予算の話が一度も出なかった商談で、予算の欄が埋まっている議事録は、無い議事録より害があります。
見出しを消す・埋まったものだけ出す、という作りにしなかったのは、「その項目を聞いていない」ことが議事録から分かる方がよいからです。空の一行は、次の商談で聞くべきことの一覧にもなります。
長い商談で独自項目だけが空になった。2026年9月16日に直した
文字起こしが14,000字を超える商談は、区間に分けて、区間ごとに要点を抜き出してから統合します。この区間の抜き出しに、以前は「決定事項・ToDo・重要な発言・論点」の4つしか渡していませんでした。独自項目は最後の統合で初めて見出しとして出てくるので、そこに至るまでに抜き出されなかった発言は、独自項目に入りようがない。長い商談ほど、足した項目だけが「読み取れませんでした」になる作りでした。上の3つ目の詰まりは、自分たちが起こしたものです。
直したあとは、区間ごとの抜き出しの指示に、この一文が足されます。
> さらに、次の項目に関わる発言も漏らさず拾ってください:希望年収・転職理由
「重視するポイント」も同じ場所に、先頭200字まで渡しています。区間ごとに独自項目に関わる発言が拾われた状態で統合に進むので、見出しだけが立つことはなくなりました。区間の抜き出しでも「該当が無い項目は『なし』と書く」を指示していて、統合の段では「メモに書かれていないことは創作しない」と指示しています。拾えなかったものは、拾えなかったまま最後まで通ります。
Meetnectでは
Meetnect はブラウザだけで動くオンライン商談ツールです。議事録の独自項目は会社の設定画面で足し、その会社のすべての商談に同じ見出しが付きます。この記事の4項目・12個・40字・14,000字・200字は、実際に動いているコードの値をそのまま書きました。足すなら、見出しだけで何を拾うか分かる言葉にして、埋まらなかった一行は「次に聞くこと」として読んでみてください。