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ノートパソコンが熱いとweb会議が重い理由と、設定を下げる順番

2026年10月15日

4人が映った商談中のノートパソコンから熱が立ちのぼり、左の温度計は目盛りがいちばん上まで上がり、右では大きな歯車が回っている様子
4人が映った商談中のノートパソコンから熱が立ちのぼり、左の温度計は目盛りがいちばん上まで上がり、右では大きな歯車が回っている様子

商談の途中でノートパソコンが熱くなり、動きが引っかかる。調べると「冷却台を使う」「通気口のほこりを飛ばす」「不要なタブを閉じる」が並びます。どれも正しいのですが、熱くなったあとに何が落ちるのかを書いたページは見つかりませんでした。

この記事では、温度で性能が落ちる仕組みを各社の公式ページから引き、落ちるのが「自分の画面」か「相手に届くもの」かを分けます。そのうえで、商談中に打てる手を「相手に影響しないもの」から順に並べます。何℃で何%落ちるかは測っていないので書きません。


この記事の内容
  1. 熱で落ちるのは、設定を何も触っていなくても起きます
  2. 公式が「こう制限する」と書いていることは、会社ごとに違います
  3. ファンの音は、性能が守られている合図です
  4. 商談中に詰まるのは、この3つです
  5. 下げる順番は、自分だけで済むものが先、送信は最後です
  6. 室温そのものが、公式の条件に入っています
  7. 測っていないことは書きません

熱で落ちるのは、設定を何も触っていなくても起きます

プロセッサーには温度の上限があり、そこに届くと自分で速度を落とします。Intel は上限を Tjunction max と呼び、「プロセッサーが内部の温度制御を使って電力を下げ温度を抑えるまでに許容する、最大の接合部温度」と定義しています。同じページに「プロセッサーの温度制御システムが作動すると、過熱を防ぐために通常は周波数と電力を下げるため、性能の低下が起こることがある」と書かれています(Information about Temperature for Intel Processors)。上限の値は製品によって違い、同ページではおおむね100℃〜110℃とされています。

別のページでは、この動きを throttling と呼び、「システムの温度が TJ Max(または Tcase)を超えたときにクロック速度を下げる仕組み」と説明しています(What Is Throttling and How Can It Be Resolved?)。

なお、Intel のこの2ページと、後で出てくる Apple の Mac ノートブックのページは英語です。かぎかっこの中は訳で、原文はリンク先にあります。日本語で出ているページ(Apple のモバイル機・Microsoft・Google)は原文のままです。

ここが背景ぼかしが重い話と違う点です。ぼかしや美顔は、自分がオンにした分だけ処理が増えます。温度で落ちるほうは、こちらが何もオンにしていなくても、室温と通気だけで起こります。

公式が「こう制限する」と書いていることは、会社ごとに違います

熱くなったときに何をするかは、公式ページに書かれています。ただし書いている内容が揃っていません。

Apple(iPhone・iPad) は、内部温度が通常の範囲を超えたときの動きを並べて書いています(iPhoneやiPadが高温または低温になりすぎた場合)。

同じページに「iPhone/iPadデバイスは周辺温度が0℃~35℃の場所で使用するように設計されています」とあります。

Apple(Mac ノートブック) のページは、性能の低下までは書いていません。書かれているのは温度の範囲と、ファンが自動で回ること、置き場所の注意だけです。「周辺温度が10℃〜35℃の場所で使ってください」「ベッドの上、枕の上、寝具の下で使わないでください」(Keep your Mac laptop within acceptable operating temperatures)。

Microsoft(Surface) は、ファンの側から書いています。「デバイスを冷却し、CPU のパフォーマンスを最大限に高めるために、ファンがより頻繁に作動したり、回転が速くなったりすることがあります」(Surface デバイスのファンの動作とファンのノイズ)。

つまり、コマ数が落ちることとカメラが止まることを公式が明記しているのは、Apple のモバイル機だけです。Windows 機と Mac は「温度制御が働く」までが公式の記述で、何が落ちるかはプロセッサー側(上のIntel)の説明に戻ります。

ファンの音は、性能が守られている合図です

上の Microsoft の一文は、順番が逆に読まれやすいところです。ファンが回るのは熱の結果ですが、回る目的は「CPU のパフォーマンスを最大限に高めるため」と書かれています。ファンが回って冷やしきれている間は、速度が落ちずに済んでいる状態です。

同じページには、電源モードについて「推奨 に設定すると、ファンの速度が制限され、動作が静かになります」、「パフォーマンスの向上 または 最高のパフォーマンス に設定すると、デバイスをより速く実行できますが、デバイスを暖かくし、ファンの回転を速くすることもできます」とあります。静かさと速さは、公式が同じつまみの両端として説明しています。静かだから軽い、ではありません。

ファンを持たない機種では、この逃げ道がありません。Google は過熱の対処ページで、ファンの無いノートパソコン(Pixelbook)はファン付きの機種に比べて会議中に早く過熱すると書いています(ノートパソコンの過熱状態を解消する)。

手前のノートパソコンは画面が暗く明るさのつまみが左に寄っている一方、そこから伸びる矢印にカメラが乗り、机の向こうにある相手のノートパソコンへ映像が届いている様子
手前のノートパソコンは画面が暗く明るさのつまみが左に寄っている一方、そこから伸びる矢印にカメラが乗り、机の向こうにある相手のノートパソコンへ映像が届いている様子

商談中に詰まるのは、この3つです

1. 症状が出るのは、自分の画面ではなく相手の画面です

手元が引っかかるのは自分に分かります。けれど相手に届く映像のコマが落ちたことは、こちらの画面には出ません。画面共有の遅れが送り手に見えないのと同じ構図です。相手が黙っているだけで気づけません。

2. 冷やす手は、商談中には打てません

通気口のほこりを飛ばす、冷却台を買う、置き場所を変える。熱の対処はほとんどが商談の前にやることです。始まってから打てるのは、底面をふさがないようにすることと、処理を減らすことだけです。

3. 「処理を減らす」の中に、相手に影響するものが混ざっています

Google の過熱対処ページには、画質を下げる・Meet のウィンドウを他のウィンドウと重ねない(重ねると GPU の負荷が増える)・スポットライトのレイアウトを使う・OS を更新する・高解像度ディスプレイの接続を解除する・開いているタブとアプリを減らす、が並んでいます。この6つは効く場所が同じではありません。相手の画面を落とすものが1つだけ混ざっています。

下げる順番は、自分だけで済むものが先、送信は最後です

Meet の対処をそのまま2つに分けると、順番が決まります。

相手に何も影響しないもの(先にやる)

  1. 受信の画質を下げる。 自分に届く映像を減らすだけなので、相手の見え方は変わりません
  2. レイアウトをスポットライトにする。 公式が「CPU と GPU の負荷が減る」と書いています
  3. 会議のウィンドウに他のウィンドウを重ねない
  4. 外付けの4K・Quad HD ディスプレイを外す。 公式が「性能に大きく影響する」と書いています
  5. タブとアプリを閉じる

相手の画面に出るもの(最後にやる)

  1. 送信の画質を下げる。 Meet の説明では標準解像度(360p)で「カメラから送信される映像の画質は低下します」。相手が見ているこちらの顔が、ここで落ちます

送信と受信が別の設定になっていることは内蔵カメラの画素数の記事に表で整理しました。設定の場所はそちらを見てください。

送る側に余力が無くなると、解像度とコマ数のどちらを捨てるかはブラウザが決めます。既定は両方を均して落とす balanced で、解像度を守るかコマ数を守るかを指定もできます(MDN: RTCRtpSender.setParameters)。うちがどちらを選んだかは画面共有の記事に書きました。

室温そのものが、公式の条件に入っています

見落としやすいのは、どの公式ページも周辺温度の上限を35℃と書いていることです。Apple のモバイル機が0℃〜35℃、Mac ノートブックが10℃〜35℃。真夏の西向きの部屋や、エアコンを切った会議室は、この範囲の外に出ます。機械の問題ではなく部屋の問題である場合があり、そのときは設定をいくら下げても戻りません。膝や布団の上を公式が禁じているのも同じ理由で、底面の通気がふさがります。

バッテリー側の省電力とは別の話です。省電力モードは電源の残りを見て入り、公式は通話アプリを制限の対象から外しているので、熱の話とは効く場所が違います。そちらはweb会議でバッテリー消費が早い話に書きました。

測っていないことは書きません

何℃で何%落ちるか、熱いときに相手へ届くコマ数がいくつになるかは測っていません。 同じ機種・同じ室温で測る必要があり、まだやっていないので数字は出しません。この記事の温度と制限の中身は、すべて上に挙げた公式ページから引いたものです。


Meetnect はブラウザだけで動くオンライン商談ツールです。送る映像の設定は商談の最中に触れますが、熱の制限はブラウザの外側で起きるので、こちら側から止めることはできません。だから機能の数で解決すると書くのではなく、自分の画面だけで済む手と、相手の画面に出る手を分けて並べました。

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