毎週の定例商談の時間を動かしたいとき、予定を開くと「この回だけか、すべてか」を聞かれます。選んでいるのは適用する範囲だけのように見えます。ただ公式の記述を当たると、選択肢の数も名前もツールごとに違い、過去の回まで書き換えるものと、過去には触らないものが混ざっていました。しかも1回だけ出席者を外す操作は、他の回には効きません。出典はすべて本文に置きました。

上位に並ぶのは「どのボタンを押すか」
「定期的な会議 変更 今回のみ 以降すべて」で検索すると、出てくるのはほとんどOutlookの話です。Microsoft Q&Aに同じ趣旨の質問が何本も立っていて、個別に変えた回が元に戻ってしまう、一部だけ変えるとTeamsのURLはどうなるのか、宛先のメンバーだけ差し替えたい、という内容が並びます。残りは操作手順の解説記事です。
答えはどれも「ダイアログでどちらを選ぶか」に寄っています。質問が繰り返し立っていること自体が、ここでよく詰まる証拠です。ただ詰まっているのは押す前ではなく、押したあとに何が動いたのか分からないところでした。
選択肢は、ツールごとに数も名前も違う
Microsoftの新しいOutlookは3つです。公式の説明には「系列内の 1 つのイベントを編集する - この 1 つのインスタンスに変更を加えます」「\[系列の編集\] - 系列全体に変更を加えます」「このイベントと次のすべてのイベントを編集します」と並びます。クラシックOutlookは2つで、「定期的な予定、会議、またはイベントを開くと、クラシック Outlook から、この 1 つのイベントだけを開くか、一連のイベント全体を開くかを確認するメッセージが表示されます」(Microsoft サポート)。
Google カレンダーは3つで、表記が2通りずつ書かれています。「この予定」または「今回のみ」、「これ以降のすべての予定」または「以降すべて」、「すべての予定」または「一連の定期的な予定すべて」(Google カレンダー ヘルプ)。編集のほうは「一連の定期的な予定の中から、この変更を適用する回を選択します」とだけ書かれています。
Zoomも3つで、英語では「This meeting only」「This and following meetings」「All meetings in this series」です(Zoom サポート)。
同じ画面が2択のものと3択のものがあるので、「真ん中を選ぶ」という覚え方は通りません。 クラシックOutlookで「一連のイベント全体」しか出てこないとき、以降だけに限る選択肢はその場にありません。
Zoomは過去の回まで書き換える
Zoomの3つには、どこまで遡るかが書き分けられています。「All meetings in this series: Edit all occurrences in the meeting series, including past, current, and future occurrences.」いっぽう2つ目は「This and following meetings: Edit this occurrence and any future occurrences of the meeting series. This option does not edit past meetings in the series.」
過去の回に触るかどうかが、選択肢で分かれています。 終わった商談の回も一覧に残っているので、シリーズ全体を選ぶと、実施した日のタイトルや設定があとから変わります。記録として見返す側から見ると、開催したときの内容ではなくなっています。
理由は構造のほうにあります。Zoomの定期的なミーティングは「each occurrence uses the same meeting ID and settings」で、全部の回が同じIDと設定を共有します。だからシリーズ側に付いている設定は、回ごとに別の値を持てません。IDそのものの期限はweb会議の招待URLに有効期限はあるかに書きました。
進行中の回も例外です。「Any edits to a meeting that is currently in progress will not take effect. The meeting must be ended and restarted for the changes to take effect.」(Zoom サポート)商談が始まってから直しても、その回には反映されません。
1回だけ外した相手は、ほかの回に残る
Microsoftのページには、1つの回だけを編集するときの制限が2つ書かれています。1つ目がこれです。「定期的な会議の 1 つのインスタンスから出席者を削除した場合でも、その出席者は定期的な会議の他のインスタンスに招待されます。」
定例の商談だと、そのまま効きます。今週だけ同席を外してもらう、今週だけ相手の担当を減らす、という操作を「この回だけ」で行っても、招待は残りの回に残ったままです。外したつもりの人に翌週の通知が届きます。外すなら、シリーズ側からも外すか、その回だけ別の予定を立てることになります。
2つ目の制限は日程の側です。「アイテムの以前またはそれ以降のインスタンスをスキップする場合、定期的なアイテムの日付と時刻を変更することはできません。」前後の回を飛び越える日に動かすことはできない、という意味です。1回を2週間後にずらすと次の回を追い越すので、その形では保存できません。
更新の宛先も選べます。新しいOutlookでは、追加または削除された出席者にのみ送るか、すべての出席者に送るかを選ぶ形です。どちらが既定なのかはページに書かれていません。 件名や本文がどこまで写るかはweb会議の予定の件名は他の人にどこまで見えるかに分けて書きました。

Googleは、以降すべての削除だけ戻せない
Google カレンダーは削除のほうに注意書きが付いています。「重要: 【これ以降のすべての予定】または【以降すべて】を選択した場合、削除された予定はゴミ箱に移動されず、復元できません。」(Google カレンダー ヘルプ)
1回だけ消すのと、以降を消すのは、取り消せるかどうかが違います。 定例をいったん止めるとき、後ろをまとめて消すほうが早いのですが、戻す手はありません。止める予定が立っていない段階では、1回ずつ消すほうが安全です。
回数の上限も両社で違います。Googleは「Google カレンダーの定期的な予定は、最大で730回繰り返すように設定できます」(Google カレンダー ヘルプ)。Zoomは「Meetings can have up to 60 recurring sessions. If you need more than 60 recurrences, select the No Fixed Time option when scheduling in the Zoom web portal.」です。週1回で数えると、Zoomは60回で1年2か月ほどで終わります。長く続く定例は、どこかで作り直しになります。
定例の商談で決めておく3つ
あとから選び直せない操作があるので、触る前に決めておくと詰まりません。
- 個別に直した回があるなら、シリーズを触る前に控える。 1つの回だけ時刻や出席者を変えた記録は、カレンダーの画面からは見分けがつきません。シリーズを編集したときにその回がどうなるかは、3社とも公式には書かれていませんでした。控えておけば、あとで見比べられます。
- 1回だけ外す操作は、外れたことにならないと考える。 Microsoftは他の回に招待が残ると明記しています。残りの回に出てほしくないなら、シリーズ側の出席者から外します。
- 止めるときは「この予定」で1回ずつ消す。 以降をまとめて消すとゴミ箱に入りません。誤って未来の回を消した場合、作り直しになります。
会議室を押さえている定例は、部屋の側でも回ごとではなくシリーズで判定されます。そちらはweb会議の会議室が二重予約になるときに書きました。
Meetnectには「シリーズ」がありません
Meetnectはカレンダー連携で予定を取るとき、singleEvents: "true" を指定しています(src/worker.js:415)。定期的な予定は回ごとに1件ずつ返るので、Meetnect側にシリーズという単位は存在しません。 ルームは回ごとに1つでき、rooms テーブルが持つ時刻は scheduled_at の1つと、結びつけた予定のID(gcal_event_id)だけです(schema.sql:36-56)。繰り返しを表す列はありません。だから「今回のみか以降すべてか」を選ぶ操作もなく、1回分を直しても他の回のルームは動きません。カレンダー側で日程が動いたときに追従する条件は商談のリスケで日程変更したときに書いています。