web会議の画面共有で音が相手に聞こえない|音は共有の単位で決まる
2026年10月6日

動画を見せたら、相手から「音が出ていません」と言われる。こちらのスピーカーからは鳴っているので、届いていないことに自分では気づけません。検索すると「コンピューターの音を共有にチェックを入れる」で終わるページばかりで、そのチェックが出てこない条件に答えたものが見つかりませんでした。Zoom・Teams・Google Meetの公式ヘルプと、ブラウザ側の仕様の記述を当たって、音が送れる条件と、送り手には確かめられないところを整理します。出典は本文に置いています。
上位は「チェックを入れる」で終わっている
この語で検索して上位9件を読むと、書いてあることはほぼ同じです。Zoomなら共有の選択画面の左下にある「コンピューターの音を共有」にチェックを入れる。Teamsなら「音を含める」をオンにする。Google Meetならタブを共有する。あとはミュートになっていないか、出力先のデバイスが合っているかを確かめる。
操作としては正しいのですが、実際に詰まるのはチェックが見当たらないときです。 そのスイッチが出ない条件を書いているページは、上位には1件もありませんでした。
音が送れるかどうかは、何を共有したかで決まる
いちばん効いているのは、押し忘れではなく「共有の単位」です。画面全体を選んだか、ウィンドウを選んだか、ブラウザのタブを選んだかで、音のスイッチが出るかどうかが変わります。
Googleの画面を共有するにはこう書かれています。
> If you present a Chrome tab, it shares that tab's audio by default.
タブを共有したときだけ、音が既定で付いてきます。ウィンドウや画面全体のときは「Also share system audio」を自分で入れることになります。
ブラウザ側も同じ形です。Chromeの開発者向け文書Screen-sharing controlsには Sharing tab audio is offered in "Chrome Tab" pane, but not in "Entire Screen" pane. とあります。タブの音は提示されるが、画面全体の欄では提示されない。 押し忘れたのではなく、その欄に最初から無いことがあります。
MicrosoftのShare sound from your computerも、ブラウザから入ったときは同じ分かれ方で、タブ共有の側にはこう書かれています。
> Only the audio coming from the tab will be shared.
そのタブの音だけ、という断り書きです。資料を出しながら別のアプリで音を鳴らしても、その音は乗りません。
同じGoogleのページの中に、そろっていない書き方も残っています。片方では「ウィンドウや画面全体でもシステム音声を有効にすれば共有できる」としながら、別の箇所では If you want to share audio from your presentation, you must present a tab and have "Also share tab audio" toggled on.(タブを共有してタブの音声をオンにする必要がある)と書いています。同じページの中で、できると書いた場所と、タブでなければならないと書いた場所が並んでいます。 見えるもののほうも共有の単位で決まる話は通知の記事に書きました。音もその単位にぶら下がっています。
OSとアプリの組み合わせで、スイッチが出ないことがある
共有の単位をそろえても、まだ条件があります。各社とも、自分のヘルプの中で機械の側の条件を書いています。
Teamsでは、Macから音を送るには追加の用意が要ります。先ほどのページに you'll need to install the latest Teams audio driver in order to include computer audio in a Teams meeting とあり、Teamsの音声ドライバを入れていないと、Macでは会議にPCの音を含められません。 Windows側にも条件があって On Windows, Teams and your computer need to be set to the same speaker.、つまりTeamsとWindowsで出力先のスピーカーをそろえる必要があります。
会議室から出す場合はさらに手前で止まります。同じページは、部屋のコンソールにケーブルでつないで映すやり方について Unfortunately, we don't yet support sharing computer sound と書いています。対応していない、と公式が自分で書いているところです。 このときは各自の端末から入り直すことになります。会議室から入ったときに宛先が増える話は別の記事に書きました。
Zoomは、音を共有できる組み合わせを前提条件として並べています。Sharing background music or computer audioには、デスクトップアプリ(Windows・macOS・Linux)に加えて Zoom Web App in the Chrome web browser とあります。ブラウザから入るならChromeという指定です。 音の形も Mono と Stereo(high fidelity)の2つが選べます。画面を出さずに音だけを流す経路(詳細タブのコンピューターオーディオ)も用意されています。
ひとつ注意が書かれているのは、電話とPCの両方で入っているときです。同じページは、コンピューターの音を共有すると両方の経路に音が回ることがあると書いています。会議室で起きるハウリングと同じ形で、マイクを切っても止まらないことがあります。
仕様そのものが「音のトラックが無いまま返ることがある」と書いている
ここまでは各社の話ですが、もう一段下のブラウザの仕様にも同じ断りがあります。画面共有を始めるときにブラウザが使う getDisplayMedia の説明(MDN)には、音声は既定で false だとあり、続けてこう書かれています。
> the returned stream might contain no audio track even when audio is true and systemAudio is include
音声を要求していても、音のトラックが入らないまま返ってくることがある。仕様の側が、音は付かないことがあると認めています。 理由として、OSの制約によってブラウザが音源を決めることがある、とも書かれています。
アプリの設定を正しく入れても、その下で落ちることがある。これが「チェックは入れたのに聞こえない」の正体のひとつです。
うちは画面共有に音を頼んでいない

Meetnectの画面共有は、映像だけを要求しています。コードは navigator.mediaDevices.getDisplayMedia({video:true}) の1行です(public/room.html の1825行)。音声を頼んでいないので、画面共有に乗せてPCの音を送ることはできません。
そうしているのは、商談で見せるものをファイルで渡す側に寄せているからです。資料は画面共有ではなく、1280×720の板に焼いて1枚ずつ送っています(資料の解像度の話)。音のあるものは相手の手元で再生してもらう前提で、こちらの端末の音を相手のスピーカーまで引っぱる経路を持っていません。
録画に混ぜている音も、同じ理由で3つだけです。受け取っている資料提示のストリーム、相手のタイル、自分のマイク(collectAudio、2036〜2040行)。画面共有の音は最初から取っていないので、録画にも残りません。
商談で打てる手
送り手に確かめる手段がない以上、確かめなくても成り立つ進め方に寄せるほうが早いです。3つあります。
音のあるものは、先に渡す。 動画を見せるなら、ファイルとして渡して相手の手元で再生してもらう。共有の単位もOSも関係なくなります(資料を先に渡す判断)。
流すなら、最初の5秒で聞く。 「音は聞こえていますか」を、動画の冒頭で1回だけ挟む。終わってから聞くと、見せた時間がまるごと無駄になります。
どうしても会議の中で流すなら、タブにそろえる。 3社とも、タブ共有のときだけ音が既定で付く形になっています。ウィンドウや画面全体を選ぶと、スイッチの有無がOSとアプリの組み合わせ次第になります。
なお、ここまでの話は自分の声が届くかとは別の経路です。マイクの音量バーが動いていても相手に届いているとは限らない話は別の記事に、聞き取りにくさが記録に残る話はこちらに書きました。
分からなかったこと
2つ、確かめられませんでした。ひとつ、共有した音が相手の端末で鳴ったかどうかを送り手に見せる機能は、3社のヘルプに見つかりませんでした。無いと言い切れるわけではなく、見つからなかっただけです。ふたつ、OSとブラウザの組み合わせごとに実際に音が乗るかは、こちらで測っていません。この記事の記述は、各社の公式ヘルプと仕様書の文面、それとうちのコードの中身だけです。
Meetnectの場合
Meetnectは資料をファイルとして渡し、画面共有では映像だけを送ります。音のあるものは相手の手元で再生してもらう形なので、共有の単位やドライバで音が落ちることはありません。画面共有そのものの遅れがこちらから見えない話は別の記事に書きました。この記事で挙げた進め方の効果は測っていません。