web会議の文字起こしは、日数ではなく「数え始め」で変わります
2026年10月10日

商談の文字起こしが、いつまで残るのか。検索すると「30日」「120日」「360日」といった日数が出てきます。日数そのものは公式に書いてあります。ただ公式ヘルプを当たると、その日数をどの出来事から数えるのかが、選べる設定になっていました。 選べる日は4通りあり、更新日を選ぶと数え始めはファイルを触るたびに動きます。終わりの条件が日数ではなく「主催者が消すまで」と書かれているものもありました。どこから数えているのかを、GoogleとMicrosoftとWebexの公式で確かめました。出典はすべて本文に置きます。
上位が答えているのは「何日で消えるか」まで
「web会議 文字起こし いつまで残る」で検索して出てくるのは、文字起こしツールの比較と、文字起こしを自動化する手順です。保存期間に触れているページもありましたが、「Zoomは日数を設定できます」「外部ツールは24時間で消えます」と数字を1つ挙げて終わっていました。
数字を知りたいという需要は正しいです。詰まるのはその先で、自分が数えていた日数と、実際に消えた日が合わないことのほうです。日数が合っていても、数え始めが思っていた日と違えば、消える日はずれます。
誰の手元に文字起こしができるのかは文字起こしは参加者全員に届くのかに、消す操作そのものの違いは録画の「削除」と「共有解除」の違いに分けて書きました。ここでは時計の話だけをします。
数え始めに選べる日が、4通りあります
Google Workspaceで保存期間を決めるのはVaultです。Meetの録画や文字起こしはドライブのファイルとして置かれるので、ドライブの保持ルールに従います。そのルールで、数え始めとして選べる日が並んでいました。
> Date created, Date modified, or Date moved to trash
作成日、更新日、ゴミ箱に移した日です。これに加えて「Date set on label date field」、ラベルの日付欄に入れた日も選べます(Google Vault ヘルプ)。合わせて4通りです。
同じ「90日で消す」でも、どれを選んだかで消える日が変わります。 商談の日から90日なのか、最後に議事録を直した日から90日なのか、ゴミ箱に入れた日から90日なのか。設定した人がどれを選んだかは、ファイルを見ても分かりません。
更新日を選ぶと、数え始めは動き続けます
4つのうち更新日には、ほかと違う性質があります。同じページにこう書かれていました。
> After the file is uploaded to Google Drive, the modification date will continue to change each time the file is modified.
ドライブに上げたあと、更新日はファイルが編集されるたびに変わり続けます。
つまり更新日を数え始めに選んでいると、文字起こしを開いて直すたびに、数え始めが今日へ動きます。 消えないように見えるのは良いことのようですが、逆向きにも効きます。社内の誰かが文字を直した日が新しい起点になるので、商談の日から数えて管理していたつもりの台帳と、実際に消える日が合いません。
このページはもう1つ、保持されないものを挙げていました。「External files shared with your users」、外部から自分たちのユーザーに共有されたファイルです。相手の会社が作って共有してくれた文字起こしは、自分たちのルールの対象外です。 相手が消せばそれで終わりで、こちらの日数は関係ありません。
録画していない会議の文字起こしは、どの時計に乗るのか
Vaultには、Meet専用の保持ルールも作れます。ただ対象の書き方に条件が付いていました。
> original Meet recordings and the logs for in-Meet attendance, notes taken by Gemini, chat, Q&A, transcripts, and polls associated with recorded meetings
録画そのものと、出席・Geminiのメモ・チャット・Q&A・文字起こし・アンケートの記録で、「録画した会議に紐づくもの」と書かれています。録画せずに文字起こしだけ取った会議について、このページに記述はありませんでした。無いと言い切る材料はこちらにないので、断定はしません。
既定の扱いもこのページに書かれています。Meetのデータはドライブに保存されるため、既定ではドライブの保持ルールの対象になります。Meet専用のルールは、Vaultの設定で有効にするまで効きません。同じページには管理者向けの注意もありました。
> Don't enable retention for Meet until you create retention rules
ルールを作る前にMeetの保持を有効にしないでください、という警告です(Google Vault ヘルプ)。「Meet用の設定があるから、Meetの文字起こしはそちらで管理されている」とは限りません。 有効にしていなければ、乗っている時計はドライブ側です。

Microsoft:期限を外しても、画面の表示は残ります
Microsoftの録画には期限があり、「Your admin settings determine a recording's expiration.」と書かれています。期限は利用者の側からも動かせます。
> On the video player page, select the expiration countdown beneath the video. Change the expiration by selecting a timeframe from the dropdown menu. You can also choose Remove expiration.
動画の下に出ている期限のカウントダウンを押すと、期間を選び直せます。「Remove expiration」を選べば期限を外せます。
ここで、画面の表示と実態が食い違う一文がありました。
> The message indicating that your recording will expire will persist on the recording in the chat even if you remove the expiration date.
期限を外したあとでも、「期限切れになります」という表示はチャットに残り続けると、公式が自分で書いています。チャットの文を見て「あと何日だ」と判断すると、外したはずの期限がまだ生きているように見えます。逆の読み違いも起こります。残っている表示を見て慌てて保存した相手に、もう期限は無いと伝える手間が増えます。
期限が来たあとの動きも書かれています。「The owner of the recording will get an email when it expires. At that point, they'll have up to 90 days to recover it from the recycle bin.」期限切れのメールが持ち主に届き、そこから90日はゴミ箱から戻せます。そして戻したあとがこうです。
> Once recovered, the recording will no longer expire automatically.
一度戻すと、自動では期限切れにならなくなります(Microsoft サポート)。期限切れを1回くぐらせると、時計そのものが外れます。 日数を延ばしたいときに、わざと切れさせて戻すという順番が成り立ってしまいます。そのつもりで運用していなければ、消えないファイルが静かに増えます。
期限の設定変更が既存のファイルに遡るかどうかは、製品の中で向きが違います。そこは録画の共有リンクは何日で切れるかに書いたので繰り返しません。
文字起こしの終わりは「主催者が消すまで」と書かれています
録画には日数が付いています。では文字起こしはどうか。Microsoftのライブ文字起こしのページには、日数ではない書き方が出てきます。
> Teams live transcripts for meetings with recording and/or transcription are stored in the meeting organizer's OneDrive for Business.
置き場所は主催者のOneDriveです。そして終わりの条件がこう書かれています。
> The transcript can be accessed through the meeting chat and Recap tab in Teams until a meeting organizer deletes the transcript.
会議のチャットとRecapタブから、主催者が文字起こしを消すまでアクセスできます。消せる人も決まっていて、「The meeting organizer and co-organizers can delete the transcript.」とあります(Microsoft サポート)。
この書き方には日数が出てきません。終わりを決めているのが時計ではなく、人の操作になっています。 自分が主催でない商談に出た側からすると、終わりの日は相手の都合で決まります。いつまで見られるかを相手に聞いても、相手も日付では答えられません。
社内で「文字起こしは何年保存する」と決めても、決めた年数と、ファイルが実際に消える日がずれる話は商談の議事録は何年保存するかに、チャットで送ったファイル側の起点は共有したファイルはいつまで見られるかに書きました。
Webex:新しいものも古いものも、まとめて効きます
Webexは期間の幅を公表しています。Control Hubの保持ポリシーで「The minimum value is 7 days, and the maximum value is 360 days.」で、Pro Packを使っている場合は最大3,600日まで伸びます。
遡り方がはっきり書かれていました。
> This retention change applies to all recordings, new or old. Those created before or after the date of rollout.
新しいものも古いものも、展開日の前に作られたものも後のものも、全部に効きます。 短い日数へ変えれば、すでに手元にある古い録画はその場で対象になります。
利用者が消した場合の扱いも書かれています。「Recordings that are deleted by the end users are soft deletes. Even if deleted by an end user, it exists in the system and is accessible by a compliance officer.」(Webex ヘルプ)消しても残っていて、監督する役の人からは見えます。
ただこの日数をどの日から数えるのかは、当たったページには書かれていませんでした。 自動削除の設定のページ(Webex ヘルプ)にも、7日から3,600日という幅はありますが、起点の記述は見つけられませんでした。文字起こしを対象に含むかどうかも、このページには書かれていません。確かめられなかったので、ここは埋めずに残します。
確かめておく3つ
日数を1つ覚えるだけでは足りないので、先に確かめておくと詰まりません。
- 数え始めがどれかを、設定した人に聞く。 作成日・更新日・ゴミ箱に移した日・ラベルの日付の4通りあります。更新日なら、誰かが直すたびに起点が動きます。
- 終わりが日数なのか、人の操作なのかを分ける。 文字起こしの終わりが「主催者が消すまで」と書かれている場合、カレンダーに書ける日付はありません。相手が主催の商談なら、見たい分は見られるうちに手元へ落とします。
- 画面に出ている残り日数を信じ切らない。 期限を外しても表示が残ると公式が書いています。残り日数の表示と、いま効いている設定は別のものです。
どれも効果は測っていません。相手の側に文字起こしが残るかどうかも、こちらの画面からは分かりません。
Meetnectは文字起こしを別のファイルにしていません
Meetnectの文字起こしは、独立したファイルになりません。商談が終わって保存するときに、議事録の末尾へ「文字起こし(全文)」として差し込む作りです(public/room.html:2498)。文字列を持っているのは保存処理の中の変数1つだけで(public/room.html:2472)、保存が終われば残るのは議事録1本です。
だから文字起こしに独立した時計を持たせていません。 持たせる場所が無いからです。保存の履歴を持つ room_files テーブルは8列で、持っているのは置き場所・名前・誰がいつ作ったかだけです(schema.sql:61-70)。期限にあたる列はありません。同じ部屋を使い回しても過去の議事録が上書きで消えないよう、保存のたびに1行増やす側に寄せました(2026-09-16)。25秒ごとに区切って文字起こしを回す仕組みは文字起こしは参加者全員に届くのかに書いています。消す操作は、置いた先のドライブ側で行います。
参考
- Retain Drive files with Vault - Google Vault ヘルプ
- Retain Google Meet data with Vault - Google Vault ヘルプ
- Start, stop, and find meeting recordings in Microsoft Teams - Microsoft サポート
- Start, stop, and download live transcripts in Microsoft Teams meetings - Microsoft サポート
- Manage retention policies in Control Hub - Webex ヘルプ
- Enable the Auto-Deletion policy for Webex recordings - Webex ヘルプ